仏コンサルティング会社「キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュート」の日本法人は2019年5月13日までに、自動車業界におけるAI(人工知能)活用状況についての調査結果を発表した。調査は8カ国の大手自動車関連企業の500人の管理職を対象に行われた。
レポートによると、自動車部品を扱う大手企業のうち、大規模なAIプロジェクトを実施しているのは全体のわずか10%に留まっており、多くの企業が大きな利益を手にするチャンスを逃しているという。また、AIをまったく活用していない企業は2017年と比べて増加しているという。
■AIを全く活用しない自動車部品企業は39%
2017年以降、AIを活用する自動車関連企業は7%から10%に増加している。しかし、AIを全く活用しない企業は26%から39%と大きく増加している。この結果について、AI実装に取り組んでみたものの、投資した予算を回収することが難しいと考える企業が多いのではないかと予測されている。
■多額の投資は必要だが見返りは大きい
AI活用によって成功している企業の行動についても調査が行われた。それによると、大規模なAIシステムを実装して成果を上げている企業は、多額の投資や人材確保などを行っている傾向が強いという。
AI活用で成果を上げた企業のうち、86%の企業が年間2億ドル以上の予算をAIシステムに投資している。また、AIスキルを持った人材の雇用や、既存従業員に対するAIスキルの再構築といった取り組みを行っているという。
これらの必要投資は少なくない金額だが、生産効率の向上による恩恵は大きい。データによると、大規模なAIシステムの導入で営業利益は5%から16%程度向上するという。売上額の大きい大手自動車部品メーカーなどは大きなメリットとなるだろう。
大規模なAIシステムの構築には多くの予算と労力が必要となるが、未来を見据えて早めに動くことが必要となりそうだ。
【参考】関連記事としては「【激論・自動運転】「値」で示す法律を、「AIの行儀」も重要 トヨタ自動車TRI-ADからも登壇」も参照。
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