日経BPのムック本「ラズパイマガジン」と日経Linuxなどが主催する「みんなのラズパイコンテスト2017」で、現役大学生が開発した「自動走行ミニカー」が技術賞を受賞した。ミニカーながら、そこに搭載された技術は紛れもなく自動運転そのものだ。
同コンテストは、超小型のシングルボードコンピューター「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」を使った電子工作やアプリ、ミドルウエアなどの作品やアイデアを競うコンテスト。第4回目となる2017年のコンテストには160件の応募があったという。
自動走行ミニカーを出品したのは工学院大学(本部:東京都新宿区)に通う鈴木将さんで、全長約10センチメートルのミニカーに小型カメラを搭載し、路面の車線を認識しながら自動走行する「手のひらサイズ自動運転車」を開発した。
■自作のモータードライブ基板を実装
ミニカーには、最小モデルの「Raspberry Pi Zero W」と、モーターとステアリングサーボを制御する自作のモータードライブ基板を実装した。処理能力の問題で、当初はカメラの撮影映像から路面の車線をリアルタイムに識別し、モータードライブ基板を制御して自動運転する処理が追い付かなかったという。
このため、撮影映像を無線LAN経由で外部のパソコンにストリーミング伝送し、外部のパソコン側で処理するなど改良した。パソコンでは、送られてきた映像を2値化(白黒画像化)して道路と車線の境目を探し、境目と境目の中央を車線中央とみなし、車線中央とカメラの中央が一致するようにステアリングの角度と走行スピードを決定する。そこで得られた走行データを今度はBluetooth経由でラズパイに戻す仕組みでモータードライブを制御しているという。