トヨタ自動車は6月13日、東南アジアで圧倒的シェアを誇るライドシェアサービス大手のグラブ社(本社:シンガポール)に10億ドル(約1100億円)を出資することを発表した。トヨタはモビリティサービス事業の東南アジアでの展開について、同社との協業をテコにして一層加速させる。
東南アジアにおけるモビリティサービス(MaaS)領域の協業を深化させることで合意し、トヨタからグラブ社に取締役1人、執行役員1人を派遣する。派遣は意思決定の迅速化を目指したもの。
トヨタとグラブは2017年8月、既に協業を発表している。今後、グラブ社レンタカーのコネクティッド化のほか、走行データ連動型の自動車保険やドライバー向け金融サービス、メンテナンスサービスなどの面で事業展開を拡大する。
グラブ社が展開するレンタカー車両100台には、トヨタ製の法人車向け通信端末「TransLog」の搭載が既にスタートしている。トヨタの友山茂樹副社長(コネクティッドカンパニー:プレジデント)は報道発表で、「(トヨタの)コネクティッド技術を活用した協業関係が強化されることを嬉しく思います」とコメントを添えている。
グラブ社は現在、東南アジア8か国217都市でサービスを展開する。事業の柱は個人間のライドシェアサービスとタクシー配車サービスで、そのほかにオンデマンドの輸送サービスと運転手向けのレンタカーサービスなども提供し、事業の多角化も模索している。
2018年3月には、競合関係にある米ライドシェア大手ウーバー・テクノロジーズ社から東南アジア事業の譲渡を受け、東南アジアにおいてシェア1位となっている。アンソニー・タン最高経営責任者(CEO)は「トヨタとの強固な協業体制により、Grabは東南アジアにおいて、モビリティソリューションをワンストップで提供できる会社になれると考えています」としている。
【参考】トヨタ自動車へのグラブへの出資に関する詳しい内容は「プレスリリース」を参照。