自動運転車両が一般化すれば、アイルランドでは2030年までに10万人分の雇用が新規創出される――。国際的なエンジニアリング・コンサルティング会社アラップ(Arup)が先に公表した報告書でこうした見通しが示された。THE IRISH TIMESが4月10日付で報じた。
報告書では、アイルランドはコネクテッドカーと自律運転車両の技術を開発する企業が集まる世界的拠点になる余地が大きいと指摘する。
こうした中、自動運転技術市場の拡大により、同国ではサイバーセキュリティーやデータセンター、動画分析、インフォテインメント、自律システム、通信ネットワーク、追跡センサーなど関連分野での新規雇用創出が見込まれるという。
ただし報告書は同時に「現行の法規制を見直すことにより、こうした産業の集約を図るための具体的な措置を講じる必要がある」とする。
アラップの調査部門を率いるジョン・マッカーシー氏は「アイルランド政府はコネクテッドカーと自動運転車両が自国内で安全かつ円滑に走行するのを促すのに加え、同国がこれらの技術からの利益を最大化するための重要な役割がある」と説明する。自動運転に関する環境をアイルランド政府が今後どう整えていくかが注目される。
関連するソフトウエアやハードウェアの供給に支えられ、世界のコネクテッドカー市場の規模は向こう5年内に1800億ドル(約20超円)超に拡大するとみられる。さらにアメリカの半導体大手インテルは、新技術が投入されていくことにより、自動運転技術部門は今後に7兆ドル(約770兆円)規模の経済効果を生み出すと予想する。
アイルランドではすでに、自律運転車両部門の主要企業の投資を誘致している。インテルのほか、IT大手の米IBM、半導体大手の米アナログ・デバイセズ、カナダの大手部品メーカーであるマグナ、配車アプリ大手の米ウーバー、英自動車大手ジャガー・ランドローバーなどがアイルランドで事業展開している。