ボルボ・カーズは2021年4月22日までに、中国の配車サービス大手DiDi Chuxing(滴滴出行)の自動運転技術部門「DiDi Autonomous Driving」のテスト用車両として、多目的スポーツ車(SUV)「XC90」が採用されたことを発表した。
今回採用されたXC90にDiDiの自動運転システムを搭載することで、運転手のいないロボットタクシーの安全運行を可能にするとしている。ボルボ・カーズは2020年にDiDiに「XC60」を提供しており、その際は上海で実施されたロボットタクシーのパイロット事業で使用された。
ボルボ・カーズのホーカン・サミュエルソンCEO(最高経営責任者)は「DiDi Autonomous Drivingとの戦略的なコラボレーションは、世界の主要な配車サービス企業に選ばれるパートナーになるという我々の取り組みを証明するもの」と述べている。
ちなみにボルボ・カーズのXC90は以前、ライドシェア最大手の米ウーバーの自動運転実証で使用されていたこともある。
【参考】関連記事としては「ボルボ・カーズ、ウーバーの自動運転システムを搭載可能なSUVを発表」も参照。
■自動車メーカーにとっては「ライバルかつ販売先」
自動運転車の開発は現在、自動車メーカーだけではなく、IT企業やライドシェア企業、新興のベンチャー企業などによっても行われている。そして開発の多くが、すでに販売されている従来型の乗用車を改造する形で進められている。
そんな中、自動車メーカーにとっては、自動運転車を開発するIT企業や新興のベンチャー企業はライバルでもあるが、自動車の販売先でもあり、各自動車メーカーが自社の車両を使ってもらおうと、アピールを強化していくものとみられる。
こうした背景もあり、XC90がDiDiに採用されたことをボルボ・カーズはプレスリリースでしっかりと発表したわけだ。
■Waymoに対してはFCAが自動運転タクシー用車両を提供
ちなみにGoogle系Waymo(ウェイモ)は欧州自動車大手のFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)と独占的提携を結んでおり、自動運転タクシー向けとして車両の提供を受けている。
今後、こうした自動車メーカーと自動運転技術を開発する非自動車メーカーの結びつきについても、注目していきたいところだ。
【参考】関連記事としては「Google系ウェイモの自動運転レベル4技術、欧米FCAが採用」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)