日本で2020年4月に自動運転レベル3(条件付き運転自動化)が解禁され、今後、高速道路などで自動運転が可能なシステムが搭載された車両が続々と登場するようになる。それと並行して、こうした機能の検査体制を整備していくことも求められる。
そんな中で国土交通省は2020年8月19日までに、自動車の検査(車検)において、自動ブレーキなど自動運転技術に用いられる電子制御装置の電子的な検査を開始すると発表した。新車検は2024年10月からスタートするという。
新たな自動車検査手法の対象となる装置は3つある。1つ目は、衝突被害軽減ブレーキや自動命令型操舵機能などの「運転支援装置」。2つ目は「自動運行装置」。3つ目は「排ガス関係装置」だ。
対象車両は2021年10月以降の新型乗用車やバスやトラックで、輸入車は2022年10月以降の新型車が対象だという。
■「見えない故障」を見つけるため
自動ブレーキやACC(自動車間距離制御装置)の新車への搭載率は10年近く前にはわずか数パーセント程度だったが、近年は大きく伸びている。ACCは50%ほど、自動ブレーキに至っては80%近くまで伸びている。
一方で、現在の車検では電子装置の機能確認に対応しておらず、検出できない不具合が起きることもあるのが現状だ。そんな中、国土交通省はこうした「見えない故障」を見つけるために、今回新たな車検の導入に乗り出した形だ。
自動車が高度化するにつれ、電子装置が故障すると重大事故につながる可能性が高くなる。EU(欧州連合)では2014年に加盟国に電子装置を含んだ車検の実施を推奨しており、ドイツは2015年からOBDを用いた検査を開始している。
■【まとめ】技術の高度化とともに車検制度も変わっていく
自動運転技術や運転支援技術の高度化とともに、車検制度もその高度化に合わせて変わっていく必要がある。安全性が担保されてはじめて、こうした新技術のメリットを人々が享受できるようになる。
【参考】関連記事としては「国土交通省、自動運転に対応する新しい車検制度を検討 2024年からスタートか」も参照。