トヨタMaaS「my route」全国へ…待ち受ける「Whim」との決戦

2020年春ごろに横浜や宮崎でも展開



my routeで連携拡大する企業・サービス群=出典:トヨタプレスリリース

トヨタは2020年1月19日までに、MaaSアプリとして福岡市と北九州市で展開するマルチモーダルモビリティサービス「my route(マイルート)」について発表し、サービス提供エリアを2020年春頃には神奈川県横浜市と熊本県水俣市、宮崎県の宮崎市や日南市などに拡大し、全国展開を本格的に進めていくことを事実上宣言した。

同サービスの利便性向上や移動に関わる様々なサービサーとの連携拡大にも努め、my routeのユーザー拡大を目指す。既にKDDIが提供するauの会員サービス「auスマートパス」「auスマートパスプレミアム」の利用者を対象に、フリー乗車券を割引価格で利用可能な「my route for au」の提供を開始し、スマートフォンユーザーの取り込みに力を入れている。


トヨタグループ内のサービスとの連携や多言語対応も進められている。

既に2019年11月から「Toyota Wallet」との連携による電子決済の選択肢の増加や、「Toyota Share」との連携によってカーシェアが利用可能になっている。多言語対応では、2020年2月頃から日本語と英語に加え、中国語(繁体字・簡体字)と韓国語にも対応予定だとしている。

■移動関連サービサーとの連携拡大

ルート検索エンジンでは、日本最大のルート検索サービスを提供する「NAVITIME」との連携を強化する。タクシー配車アプリでは、全国展開する「JapanTaxi」や北九州エリアでも展開する第一交通産業の「モタク」、横浜エリアではDeNAの「MOV」との連携も検討中だという。

横浜エリアでは、サイクルシェアサービスを手掛けるドコモ・バイクシェアと連携し、サイクルシェアの予約・決済までmy routeでの完結を目指すなど、エリアごとの連携強化も進行中だ。


また、観光スポット情報の強化を目的に、JTBパブリッシングが提供する観光データベース「るるぶDATA」や日本最大級のレジャー総合サイト「アソビュー!」などと連携する。

■Whimとmy route、将来的にユーザーの支持を集めるのは?

MaaSの将来像は、移動手段や移動に関連するサービスを一つのプラットフォームで検索・予約・決済できるようにすることと言われている。今回のトヨタの動きはまさにこのMaaSの将来像を具現化するものであると言える。

日本では、世界で最も成功していると言われるフィンランド発のMaaSアプリ「Whim」が既に事業に取り組み始めており、トヨタのmy routeはこの外資系アプリと競合することとなる。Whimとmy route、どちらのサービスが将来的にユーザーの支持を集めていくのか、注目していきたい。

【参考】関連記事としては「MaaS、2020年の業界展望を大予測!アプリ次々と実用実証へ、Whimも日本上陸」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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