電機大手の株式会社東芝(本社:東京都港区/代表執行役社長CEO:綱川智)は2021年6月18日までに、ソリッドステート式LiDAR向けに、世界最小サイズと世界最高の解像度を実現する受光技術と実装技術を開発したことを発表した。
LiDARは「自動運転の目」とも呼ばれ、光技術を使って周辺環境を検知できるセンサーだ。現在、国内外のスタートアップ企業がLiDARの小型化や低価格化、高性能化を競っており、東芝の新技術を搭載した超小型LiDARは注目を集めそうだ。
■東芝の開発した超小型LiDARとは?
回転機構を持たないソリッドステート式のLiDARは、従来の機械式LiDARと比べると小型化や低コスト化を実現しやすいことがメリットだったが、その一方で長距離測定と高解像度の両立が苦手という弱点があった。
しかし、東芝が開発した受光技術を用いることで、世界最小サイズをキープしつつも長距離測定と高解像度の両立が可能になった。
東芝は2020年7月にも、200メートルの距離でも物体のスキャンが行えるようにする受光技術を発表していたが、それよりもさらに解像度がパワーアップしているという。
また、独自のデバイス温度補正技術を組み合わせているため、振動・風圧・気温変化などの厳しい環境でも性能を維持できることも可能になっている。さらに、自動温度補正技術を用いているため、外部の温度変化に左右されず高い性能を維持できるという。
■LiDARの小型化競争は既に激化
冒頭でも触れた通り、小型LiDARの開発競争は激化している。
例えば、海外企業で言えばLiDARスタートアップのLuminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ)や、国内企業で言えばパイオニア子会社のパイオニアスマートセンシングイノベーションズなども、LiDARの小型化に熱心だ。
Luminarは2020年11月にはインテル傘下のMobileye(モービルアイ)とサプライヤー契約を締結し、2021年3月には中国自動車メーカーSAIC(上海汽車集団)との戦略的パートナーシップを発表するなど、売り先も続々と確保している。
一方もパイオニアスマートセンシングイノベーションズもLiDARの小型化に積極的な姿勢を見せている。パイオニアは経営再建中ということもあり、将来有望な市場であるLiDARで起死回生ができるか、注目を集める。
性能を伴ったLiDARの小型化で今後リードするのは、東芝かLuminarかパイオニアか、はたまたほかの企業か・・・。今後もLiDAR業界から目が離せない。
【参考】関連記事として「LiDARとは?自動運転で活躍するセンサー、2030年に市場規模200倍に」を参照。