自動運転に適した場所を自動判断!?地図大手TomTomが新製品「TomTom RoadCheck」を発表

2021年から大手自動車メーカーの市販モデルに展開か

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TomTom RoadCheckを使用して自動運転実行可能な道路を特定した図=出典:TomTomプレスリリース

オランダの地図情報サービス大手のTomTom(トムトム)は2020年9月13日までに、「TomTom RoadCheck」を発表した。自動運転機能が安全に使用できる場所を判断する製品で、自動運転機能の「運行設計領域」(ODD)の定義に活用できるようだ。

トムトムの自動運転部門責任者であるウィレム・ストライボッシュ氏は「業界初の技術であるトムトム・ロードチェックは、安全な自動運転を1日も早く現実のものとする」としている。

同製品はアメリカで2021年から、大手自動車メーカーの市販モデルに展開される予定のようだ。

■TomTomはどんな企業?デンソーやTRI-ADとの協業も

TomTomは世界30カ国に拠点を有し、地図情報やナビゲーションシステム、リアルタイム交通情報などに関連した技術を開発している。すでに膨大な地図情報を武器に、自動運転領域に参入しており、今回の製品の発表もその流れをくむものだ。

これまでに、自動運転向けの高精度マップ「TomTom HD Map」や、道路の勾配や速度制限などの情報を盛り込んだ「TomTom ADAS Map」などを発表しているほか、独自に自動運転テスト車両「Trillian」も設計している力のいれようだ。

同社はすでに欧米の主要道路38万キロ以上を3次元地図化しているほか、日本においても高速道路1.8万キロ以上を3次元地図化しているという。

TomTomは2020年3月にはデンソーとTRI-ADとの3社協業についても明らかにしている。特に欧米で自動運転業界をけん引している企業の1社であるTomTomだが、日本が絡む取り組みを拡大しており、今後日本での知名度も高まっていきそうだ。

【参考】関連記事としては「トヨタTRI-AD、自動運転用「一般道高精度地図」作成実証に成功」も参照。

■「自動運転×地図」で企業の動きが活発化

自動運転の実用化に向けた動きが加速している中、地図関連の事業を展開する企業の動きが活発化しており、さまざまな取り組みがみられるようになっている。

最近では、タクシー車両を活用して自動運転向けの高精度3次元地図を作成するという試みがスタートした。3次元地図の技術開発を進めるスタートアップ企業のマップフォーと名鉄タクシーホールディングスによる取り組みだ。地図の作成コストを抑えることにつながると期待されている。

自動運転向けの地図の作成は、日本においてはダイナミックマップ基盤(DMP)、欧州においてはTomTomやHEREなどが大手企業として業界をリードしているが、自動車メーカー単体で自社サービス向けの地図データベースを作ってしまおうという動きもある。

テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は、駐車場に停めたテスラ車を呼び寄せる「スマートサモン」機能向けの地図データベースを自社で構築する方針を明らかにしている。

■【まとめ】新たなソリューションが今後も続々!?

インドと米国に拠点を持つGrand View Research社の推測によれば、デジタルマップ市場は2020〜2027年にかけ、13%の年平均成長率(CAGR)で拡大すると言われている。自動運転向けの地図の需要が高まることが理由の1つだ。

こうした有望市場においては、今回TomTomが発表した新製品のように、新たなソリューションが今後も続々と登場することが考えられる。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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