テスラバブルにおける「爆弾」とは?自動運転の目標、有言実行なるか

2020年後半、株価はどう変動する?



テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)=出典:Flickr / Steve Jurvetson (CC BY 2.0)

米EV(電気自動車)テスラの時価総額が高まっている。創業17年の企業がトヨタ自動車をも抜き、自動車業界でトップに踊り出た。最近では、一時米スーパーマーケット大手のウォルマートの時価総額も超え、その勢いに驚かされる。まさに「テスラバブル」だ。

ただ、このバブルが終わるきっかけにもなりうる「爆弾」もある。それが、イーロン・マスク氏が過去に口にした自動運転の実現目標が達成されるかどうか、という点だ。


株価は投資家の期待度も反映する。そのため、過去の発言における目標が達成されなければ、失望感から株価は急落する可能性もある。

■マスク氏のこれまでの発言

テスラCEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏は同社の代名詞的な存在であり、前のめりな発言が多いことで知られる。

そんなマスク氏は2019年4月の技術説明会において、2020年半ばに自動運転タクシーサービス「TESLA NETWORK(テスラネットワーク)」を開始し、2020年中に100万台以上稼働させると明らかにした。

顧客にリースしたテスラ車両を顧客が乗っていない時間に「自動運転タクシー」として活用し、顧客は稼いだ運賃の7割を受け取れるというものだ。ただ2020年も残すところ4カ月強だが、自動運転タクシーサービスを開始したという発表はされていない。


2019年10月には、2019年内にフル自動運転機能「アーリーアクセス」を限定公開できる見通しを立てた。しかしこちらも今のところ限定公開されたという発表はない。

ほかにも、2020年4月には2020年後半に「完全自動運転対応機能」をサブスクリプションで展開すると発表し、2020年7月には中国自動運転レベル5(完全自動運転)について「近く実現するだろう」とも語っている。

■テスラバブルは続くのか

テスラの先進運転システム「Autopilot」(オートパイロット)は、現在自動運転レベル2(条件付き運転自動化)相当のシステムであり、あくまでも車の運転で最も負担のかかる部分を支援する機能として位置付けられ、常にドライバーが監視しなくてはならない。


最近は、スマートフォンアプリで呼び出すと車が自動で自分の近くまで来てくれる「スマート・サモン」機能などが備えられるなど、同システムの進化も著しいが、まだ完全自動運転までは時間が掛かりそうな状況だ。

テスラバブルが続くかどうかは、マスク氏の発言が達成されるか否かで大きく変わると考えられる。2020年後半、テスラの株がどう変動するか、注目が集まる。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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