東京五輪のワールドワイドモビリティパートナーであるトヨタ自動車は2019年10月13日までに、五輪仕様の自動運転EV(電気自動車)「e-Palette」の詳細を公表した。世界から注目を集める東京オリンピックでトヨタはどのような先端技術を世界にアピールするのか。その詳細に迫ろう。
■初の「Autono-MaaS」専用車両をお披露目
トヨタは2018年1月にe-Paletteのコンセプトを「電動化、コネクティッド、自動運転技術を活用したMaaS専用次世代EV」と発表し、「Autonomous(自動運転)」と「MaaS」を融合したサービスを提供するための「Autono-MaaS」専用車両と位置付けている。
トヨタはこのe-Paletteを五輪仕様にするため、過去の五輪選手らに選手村での生活についてヒヤリングし、細部を改めてデザインした。コンセプトは「“Move” for All(すべての人に移動と感動を)」。この五輪仕様のe-Paletteは選手村内における選手や大会関係者の移動に実際に使用される予定だという。
■自動運転レベル4での低速自動運転が可能に
五輪仕様のe-Paletteにはトヨタの自動運転システムが搭載されており、高精度3Dマップなどを活用しながら自動運転レベル4(高度運転自動化)での低速自動運転が可能となっている。センサーで全方向の障害物を常に検知でき、周囲の状況に応じた運転操作が行われる。
車両にはオペレーターも同乗し、システム異常時には緊急停止ブレーキで車両を停止することも可能なようだ。また車両をバス停から最小限の隙間で停車させる自動制御技術も搭載されているという。
また、自動運転時には歩行者と車両がコミュニケーションをとれるよう、目のようにデザインされたランプで車両状況を歩行者に周知できる仕組みも導入した。走行時には全点灯、停車中には上部のみ点灯、充電中には赤——といった具合だ。
■元五輪選手にヒヤリング、デザインも五輪仕様
車両は乗る人が快適に移動できるよう、さまざまなデザイン上の工夫も凝らされている。
例えば広い室内空間を確保するためにタイヤを四隅に配置したほか、手すりやシートはさまざまな国の人々の体格に合うようにデザインされている。そのほか、色の明度差をつけた床やシートなどは色弱者の人にも配慮した色彩になっている。
■【まとめ】東京五輪は最高のアピールの機会
東京オリンピックは世界から注目を集める国際イベントだ。そのイベントを舞台にトヨタの技術が世界の目に触れるのであれば、これ以上のアピールの機会はない。大会まで1年を切っている。大会でお披露目する五輪仕様のe-Paletteの最終調整に、トヨタの忙しい日々が続きそうだ。
【参考】詳しくは「【最新版】トヨタのe-Palette(イーパレット)とは? MaaS向けの多目的EV自動運転車」も参照。