自動運転レベル4以上に対応!米NPSがフュージョンセンサー・プラットフォームを発表

LiDAR・カメラ・レーダーをオールインワンパッケージ化



出典:Neural Propulsion Systems公式サイト

米スタートアップのNeural Propulsion Systems(ニューラル・プロパルジョン・システムズ)=NPS=は、自動運転に必須とされる各種センサーを統合・パッケージ化したセンサー・プラットフォーム「NPS 500」を2021年3月5日までに発表した。自動運転レベル4以上(高度運転自動化)に対応するという。

NPS社およびNPS 500の概要とともに、センサーフュージョン技術の重要性に触れていこう。







■NPSの企業概要:敏腕起業家Rezvani氏が2017年に創業

NPSは起業家のBehrooz Rezvani氏(現CEO)らが2017年に創業し、カリフォルニア州プレザントンに本社を構えている。

これまでステルスモードで企業活動していたものと思われ、資金調達や開発パートナーなど詳細は明かされていないが、自動運転レベル4以上を実現する費用対効果の高いオールインワンのマルチモデルセンサーシステムの開発を手掛けている。

Rezvani氏はNPS設立以前、半導体プロバイダーのIkanos Communicationsやワイヤレス通信技術開発のQuantenna Communications、認識技術をもとにビデオコンテンツを作製するSeyyerなどを設立してきた人物で、米国内で40を超える特許を保有しているという。電気工学や量子デバイス分野を得意としているようだ。

なお、IkanosはQualcomm Atherosに、Quantennaはオン・セミコンダクターにそれぞれ買収されている。Rezvani氏自身が相当の資金を保有しており、これを研究開発に費やしてきた可能性が考えられるが、今後は大量生産に向け、表立った資金調達や株式市場への上場を目指す動きがあるかもしれない。

■NPS 500の概要:3つのセンサーを融合したパッケージ製品

NPS 500は、ソリッドステート型MIMO-LiDARと超解像SWAMレーダー、カメラを統合したセンサーシステムで、いわば自動運転に必須とされるセンサー群を網羅したオールインワン型のパッケージ製品だ。同社によると、3つのセンサーを融合した製品は世界初という。

範囲と解像度を2倍にする革新的なMIMO‑LiDARアーキテクチャ、従来より10倍優れた検出信頼性を誇るレーダー、高解像度カメラの各データをAIフュージョンテクノロジーで融合することで、各センサーの短所を補いながら長所を生かし、優れたセンシング能力を発揮するという。

具体的には、10%の反射率で500メートル以上の範囲を検出可能なほか、交差点における歩行者や他の車両の事前検知や予測、交通標識に準拠していない可能性のある車両の検出、街路樹などで遮られた視界の先にいる歩行者や車両の検出なども可能にしている。

広範囲に及ぶ検知能力をはじめ、AIによる「見えないもの」を予測する機能もウリのようだ。使用するチップは、センサーデータを650TB/秒で処理可能という。Rezvani氏は「NPS 500は、市場投入までの時間短縮や高い費用対効果を実現する」とコメントしている。

公式サイトでは具体的な価格を提示していないが、ロイター通信の報道によると、1台あたり約4000~5000ドル(約43~54万円)での提供を目指しているようだ。

■自動運転で重要性が増すセンサーフュージョン技術

一般的な自動運転車はLiDARやカメラ、ミリ波レーダーなどを計10基以上搭載しているが、その構成は千差万別で、各社のセンサーシステムに対する考え方が反映されている。

こうした中、各センサーが収集する情報をいかに効率的かつ効果的に融合し、認識能力を高めるかといったセンサーフュージョン技術の重要度は増しており、自動車メーカーやティア1サプライヤーにとっては必須となるもので、各社が研究開発を進めている。

自動運転技術の開発を手掛ける企業においても同様で、多くの開発企業がLiDARをはじめとする複数のセンサーを活用したシステム開発を進めている。センシング分野でも、京セラがLiDARと画像センサーをワンユニット化した「カメラ-LiDAR フュージョンセンサー」技術を発表するなど、開発に熱が入っているようだ。

■【まとめ】自動運転システムのパッケージ化の先駆けに

将来の自動運転システム市場では、目となるセンサーシステムと脳となるコンピュータ部分が製品化され、さまざまなボディ形状・車種への汎用性を高めたオールインワン・パッケージ化が徐々に進行する可能性がある。NPSの「NPS500」はまさにこうした流れを意識した製品と言える。

車体への取り付けや制御機構との結合、調整など専門技術が必要となるが、自動運転開発企業のみならず、自動運転サービスを目指す事業者もより手軽に自動運転車を構築可能となる時代が将来訪れるのかもしれない。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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