MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)株式会社はこのほど、モビリティイノベーションの実現に向け企業間連携を推進する「MONETコンソーシアム」のウェブサイトをリニューアルした。
サイトでは、新たにMaaS実現に向けたロードマップを提示するなどコンソーシアムの目的や取り組みを明確にしており、いっそうの仲間づくりに弾みをつけていく構えだ。
この新たに明示されたロードマップの概要をはじめ、参加企業やこれまでの取り組みについて改めて見ていこう。
記事の目次
- ■ロードマップ:2022~23年度に「MONETプラットフォーム」を普及
- ■MONETコンソーシアムの参加企業
- 建設業:清水建設や大成建設
- 製造業:旭化成や京セラも
- 電気・ガス・熱供給・水道業:関西電力や東京ガス
- 情報・通信・放送業・出版業:フジテレビやヤフー
- 運輸業・郵便業:JR東日本や日本通運
- 卸売業・小売業:伊藤忠やイオンリテールやインテル
- 金融業・保険業:あいおいニッセイ同和損保やみずほ銀行
- 不動産業・物品賃貸業:住友不動産やWeWork
- 学術研究・広告業・持株会社など:サントリーホールHDや電通
- 宿泊業・飲食サービス業:スターバックスコーヒーのみ
- 生活関連サービス業・娯楽業・旅行業:JTBや東京ドーム
- 教育・学習支援業:順天堂と備前自動車岡山教習所
- 医療・福祉:熊本赤十字病院と日本生活協同組合連合会
- その他にもオムロンソーシアルソリューションズやセコム
- ■MONETと自治体との連携にも注目
- ■MONETコンソーシアムに参加するには?
- ■【まとめ】MaaS応用の道は広く 実証は加速傾向に
■ロードマップ:2022~23年度に「MONETプラットフォーム」を普及
ロードマップでは、2019年度中に仲間づくりを推進し、プラットフォームの「箱」を完成させることを目指す。具体的には、車両OEM8社の業務提携や350社の企業、350の自治体との連携を数字として掲げている。
2020年度には、プラットフォームに基本機能やデータを実装してモデルケースづくりを進める。2022~23年度をめどに機能やデータを充実させて「MONETプラットフォーム」を普及させ、その後の自動運転時代における爆発的な普及を目指すこととしている。
現在は仲間づくりを積極展開している段階で、今後、これまでに取り組んできた実証実験や関連技術のもと、このロードマップをベースに社会や地域のニーズの変化に対応しながらMaaSを推進していく構えだ。
このロードマップを実行していく上で業種・業界を超えた共創は重要であり、総会やMeet UP、Start UP、Build UPを適宜企画・実施し、共創機会の創出や育成を促進していくこととしている。
■MONETコンソーシアムの参加企業
コンソーシアムには2019年10月末時点で420社が加盟しており、非常に幅の広い業種から各社が集まっている。
建設業:清水建設や大成建設
サイトには、日本標準産業分類に基づいて業種別に分類した掲載許可企業の一覧が載っており、建設業からは、鹿島建設や清水建設、大成建設、積水ハウス、アークノハラ、トヨタホーム、旭化成ホームズなど、建設や住宅最大手クラスが名を連ねている。
製造業:旭化成や京セラも
製造業では、アイシン・エィ・ダブリュやアイシン精機、ジェイテクト、ダイナミックマップ基盤、デンソー、トヨタ車体、ボッシュといった自動車関連業をはじめ、旭化成や京セラ、コカ・コーラボトラーズジャパン、コクヨ、大日本印刷、日立製作所、ブルボン、吉野家ホールディングスなど、多岐にわたる企業が名を連ねている。
電気・ガス・熱供給・水道業:関西電力や東京ガス
電気・ガス・熱供給・水道業からは、今のところ関西電力、中部電力、東京ガス、東北電力などが加盟している。
情報・通信・放送業・出版業:フジテレビやヤフー
情報・通信・放送業・出版業からは、アイサンテクノロジーやakippa、アマゾンウェブサービスジャパン、ヴァル研究所、Carstay、カブク、スマートドライブ、ゼンリン、東芝デジタルソリューションズ、日本電気、日本マイクロソフト、PKSHA Technology、フジテレビジョン、MaaSTechJapan、みんなのタクシー、ヤフー、Luupなど、すでにMaaS開発を進めている企業も多く名を連ねている。
運輸業・郵便業:JR東日本や日本通運
運輸業、郵便業からは、東日本旅客鉄道やエムケイ、小田急電鉄、九州旅客鉄道、京王電鉄、京成電鉄、神姫バス、西武バス、日の丸自動車などMaaSの主軸を担う鉄道、タクシー、バスといった移動サービスを手掛ける企業をはじめ、日本通運やサカイ引越センター、全日空なども名を連ねている。
卸売業・小売業:伊藤忠やイオンリテールやインテル
卸売業、小売業からは、伊藤忠商事や住友商事、丸紅、三井物産といった総合商社をはじめ、イオンリテールやインテル、オートバックスセブン、コンチネンタル・オートモーティブ・ジャパン、JTB商事、スマートバリュー、ソニービジネスソリューション、フィリップス・ジャパン、マクニカ、三越伊勢丹、ローソンなどが名を連ねている。
金融業・保険業:あいおいニッセイ同和損保やみずほ銀行
金融業・保険業からは、あいおいニッセイ同和損害保険などの保険会社やトヨタファイナンス、みずほ銀行、マスターカード・ジャパンなど金融関係企業が名を連ねている。
不動産業・物品賃貸業:住友不動産やWeWork
不動産業、物品賃貸業からは、住友不動産や大和ハウス、三井不動産、三菱地所、森ビルなど業界最大手を中心にWeWork Japanといった新興企業なども名を連ねている。
学術研究・広告業・持株会社など:サントリーホールHDや電通
学術研究、専門・技術サービス業、広告業、持株会社からは、SGホールディングスやサントリーホールディングス、JXTGホールディングス、セブン&アイ・ホールディングス、ソニー・ミュージックエンタテインメント、電通、博報堂、みちのりホールディングス、ヤマトホールディングスなどが名を連ねている。
宿泊業・飲食サービス業:スターバックスコーヒーのみ
宿泊業、飲食サービス業からは、今のところスターバックスコーヒージャパン1社が加盟を公表している。
生活関連サービス業・娯楽業・旅行業:JTBや東京ドーム
生活関連サービス業、娯楽業、旅行業からは、JTBや東京ドーム、エイチ・アイ・エスなどが名を連ねている。
教育・学習支援業:順天堂と備前自動車岡山教習所
教育、学習支援業からは、順天堂と備前自動車岡山教習所が加盟を公表している。
医療・福祉:熊本赤十字病院と日本生活協同組合連合会
医療、福祉からは熊本赤十字病院、複合サービス事業からは日本生活協同組合連合会が加盟している。
その他にもオムロンソーシアルソリューションズやセコム
他に分類されないサービス業からは、オムロンソーシアルソリューションズやセコム、綜合警備保障、パナソニックシステムソリューションズジャパンなどが名を連ねている。
すでにロードマップに掲げられた350社をはるかに超えており、今後も増加していくものと思われる。
■MONETと自治体との連携にも注目
本体のモネ・テクノロジーズでは、自治体との連携や実証などを順次進めており、自動運転社会の実現を見据え、次世代オンデマンドモビリティサービスの提供に向け全国の17自治体と連携することを2019年2月に発表している。
これまでに、2019年3月に愛知県豊田市と広島県福山市、5月に長野県伊那市、7月に石川県加賀市、8月に北海道安平町と香川県三豊市、同琴平町、9月に東京都府中市と北海道、11月に愛知県みよし市、12月に大阪府とそれぞれ連携協定を結び、スマートシティの実現に向けた次世代運行サービスの実証実験や先端技術を活用した次世代運行サービスによる地域活性化、自動運転社会を見据えた新たなサービス施策の検討など、各地域が抱える課題解決に向け連携を強めている。
安平町では、地域のタクシー会社などが運営する「安平町デマンドバス」にモネの配車プラットフォームを活用し、スマホアプリで予約ができる「MONETバス予約」を8月29日から実施しているほか、伊那市では、フィリップス・ジャパンとの協業によって完成させた、医療×MaaSを実現するための医療機器搭載車両「ヘルスケアモビリティ」を同市が推進するモバイルクリニック実証事業において12月からテスト運行を開始し、オンライン診療をはじめとした各機能の有効性を検証することとしている。
コンソーシアムが描く350自治体との連携にはまだまだ及ばないが、地域におけるMaaSの基盤となる自治体との連携は今後大きく重要性を増していくことになる。各自治体などとは水面下で交渉を続けているものと思われ、パートナシップの輪はこれからもどんどん広がりそうだ。
【参考】モネと自治体との連携については「止まらないMONETの勢い!設立1年、全国自治体との連携次々に 自動運転も見据えたMaaS事業展開」も参照。医療×MaaSについては「地方のヘルスケア課題、「医療×MaaS」で解消!MONETとフィリップスが専用モビリティ」も参照。
止まらないMONETの勢い!設立1年、全国自治体との連携次々に 自動運転も見据えたMaaS事業展開 https://t.co/3Bol8TsqiQ @jidountenlab #MONET #MaaS #自治体 #連携
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) September 1, 2019
■MONETコンソーシアムに参加するには?
コンソーシアムは自動運転時代に向けMaaS事業に取り組みたいと考えている企業を中心にプログラムを構成しており、その趣旨に賛同する企業は、MaaSとの親和性やサービスの広がりがあれば業種を問わず参加することができる。会費は今のところ無料となっている。
▼入会案内|MONETコンソーシアム
https://consortium.monet-technologies.com/admission
現在特にMaaSに取り組んでいない企業も勉強会などに参加することができるが、個人名義や学術団体は原則不可で、企業以外の組織、団体の加入については問い合わせが必要となっている。
参加には、「MONETコンソーシアム規約」への同意と入会申請、そして審査を受ける必要がある。入会申請にはアカウントが必要で、会社名や代表者名、担当者名、住所、連絡先、従業員数、業種などの基本情報と、MaaSに対する専任組織の有無などの推進体制を登録する。
アカウントを登録すると、メールアドレスに「入会申し込みフォーム(ビジネスヒアリングシート)」のURLが届くので、「MONETコンソーシアム規約」を確認した上、入会申請する。
その後、記載内容をコンソーシアム事務局が審査し、申込書の受理を行う流れとなっている。審査には10営業日程度かかる場合もあるようだ。
MONETコンソーシアム規約は全12章からなり、総則をはじめ入退会や商標などの提供、ワークショップ、費用負担、権利の帰属、パートナー(参加企業)の義務、禁止事項、本コンソーシアムの終了、会員資格の期間及び会費、秘密保持などが定められている。
▼MONETコンソーシアム規約|MONETコンソーシアム
https://consortium.monet-technologies.com/consortium/document/consortium_agreement.pdf
退会する場合は、退会希望日の60日前までに所定の方法で同社に届出を提出する。会員資格は3月31日までの1年単位で、特に届け出がない場合は自動で延長される。
秘密保持義務など遵守すれば、他のコンソーシアムへの入会の制限もない。
■【まとめ】MaaS応用の道は広く 実証は加速傾向に
思いのほかコンソーシアム加盟のハードルは低く、MaaSの実現に向け取り組んでいく意志があれば仲間入りできる状況だ。ただ、会員企業数などを勘案して募集を制限する場合もあるため、今後申し込みが殺到するようなことがあれば募集に制限が課される可能性もある。
モビリティ関連企業以外の大半の企業はMaaSに関連した発表を行っておらず、水面下で試案の具体化や協議などを進めているものと思われるが、電通などの取り組みのように今後さまざまなMaaS実証がスタートし、2020年度には多様なモデルケースが発表される可能性が高い。
移動サービスを主体としたMaaSにどのような付加価値が結びつき、MaaSを応用した新たな社会づくりが進められていくのか。引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「MONET Technologies(モネテクノロジーズ)とは? トヨタとソフトバンク出資、自動運転やMaaS事業」も参照。