名古屋鉄道株式会社(本社:愛知県名古屋市/代表取締役社長:安藤隆司)は2021年5月5日までに、エリア版MaaSアプリとして「(仮称)新名鉄Touch」を、2022年3月にリリースすると発表した。
これは、名鉄グループ中期経営計画「Turn-Over2023~反転攻勢に向けて~」(2021~ 2023年度)の重点テーマに掲げる「交通事業の構造改革」および「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」の一環として取り組むものだ。
新MaaSアプリは、既存のアプリ「名鉄Touch」をほぼ全面リニューアルする形で提供する。報道発表によれば、地域交通と生活・観光をシームレスかつストレスフリーにつなぐことを目指すという。
さまざまな企業や団体、大学などとも連携し、商業施設や店舗への送客や観光周遊の促進、高齢者の外出促進なども進めていく計画で、いずれは国内の他のエリアのMaaSとの連携も目指していくようだ。
■新MaaSアプリの機能や既存アプリからの改善点は?
では新MaaSアプリにはどのような機能が実装され、既存のアプリからどんな点がブラッシュアップされることになるのだろうか。報道発表によれば、実装予定の機能は4つあるという。
実装予定の機能の1つ目は「地点間検索・マルチモーダル検索機能」で、検索対象の鉄道やバスに徒歩やタクシーを加え、出発地から目的地までの最適な交通手段を無料検索できる。
2つ目は「デジタルチケット機能」で、バスの1日乗車券や観光施設の入園券などをデジタル化し、スマートフォンで予約や決済が可能になることにより、キャッシュレス・非接触を実現する。
3つ目は「リアルタイム情報の提供」で、マップ形式で電車の運行情報や位置情報を提供する。
そのほか、既存のアプリのUI(ユーザーインターフェース)/UX(ユーザー体験)を改善し、アプリの使いやすさを改善する。トップ画面では利用者が設定した「マイ駅」を表示し、必要な情報へ迅速にアクセスできるようにするという。
■愛知県はモビリティ先進地域
愛知県は、日本におけるモビリティ先進地域であると言える。自動運転やMaaSの実証を2016年度から始めている。これは日本の地方自治体の中でもかなり早い方だ。愛知県の大村秀章知事は自動運転技術の推進に前向きで、自動運転車の試乗ももちろん経験済みだ。
世界的自動車メーカーのトヨタが本社を構えているのも愛知県であり、自動運転OSを開発するスタートアップ企業のティアフォーも名古屋大学から生まれた。無人飛行ロボットの社会実装を目的とした取り組みも、愛知県内では積極的に行われている。
全国的にMaaSの実証実験は盛り上がりを見せているが、愛知県や名古屋における取り組みは特に注目が集まりそうだ。
【参考】関連記事としては「競争力死守!愛知県が「スタートアップ推進課」…車業界の変革見据え 自動運転含むCASEの進展に対応」も参照。