経路検索大手のジョルダンと街づくり企業の山万は2021年5月19日までに、路線バスでの「顔認証乗車システム」の実証実験を開始した。
実証実験は、千葉県佐倉市のニュータウンで2020年11月に運行開始した「ユーカリが丘コミュニティバス」にて行われる。バスに乗車する際、現金の支払いや定期券の提示などをしなくても、顔認証で乗車代金の決済が可能になる。「顔決済」とも言えそうな仕組みだ。
実証実験は6月30日まで行なわれる予定で、約100人のモニターを対象に実施するという。ちなみに夏頃には、同じエリア内を走行する新交通システム「山万ユーカリが丘線」の改札においても、顔認証で決済する実証実験を開始する予定だという。
ユーカリが丘コミュニティバスでの実証実験は、「ユーカリが丘版MaaS」の実現を目指す取り組みの一環として行われる。将来的には、気軽に移動できるパーソナルモビリティや自動運転バスといった交通手段の提供も検討しているようだ。
■パナソニックの技術とジョルダンのシステムで実現
今回の実証実験では、パナソニックの顔認証技術とジョルダンの決済・チケット管理システム「JorudanStyle3.1」が活用・導入されている。
パナソニックは1992年から顔認証技術の開発を進めており、現在では同技術においてディープラーニング技術も活用し、世界最高水準の識別精度を誇っている。ジョルダンのJorudanStyleは2015年に提供を開始し、40以上の自治体や公共交通事業者へ導入実績がある。
このパナソニックの技術とジョルダンのシステムを掛け合わせ、今回の顔決済が可能になるようだ。
仕組みはシンプルだ。まず乗客の顔情報を事前に登録し、クラウド上で管理する。そして事前登録済み乗客がバスに乗ると、パナソニックの顔認証技術とクラウド上の情報を使い、どの人かが特定される。その後、JorudanStyleで登録情報をもとに決済が行われるという。
■公共交通機関への導入で収益力も利便性もアップ
顔認証技術への注目度は近年高まっており、Amazon Goなどの無人ストアでも導入されている。
顔認証技術が導入できれば、事業者側の手間も利用者側の手間も両方が削減され、公共交通機関側の収益力を高めることや利用者の利便性が高まることにつながるはずだ。MaaS×顔認証技術の取り組みに、引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「「自動運転バス×顔認証」に秘める可能性 リピート客への割引運賃適用も可能に」も参照。