自動配送ロボの公道走行解禁、ECとFMSの連携が今後の鍵に!

システムインテグレーションの重要性



楽天と西友が2021年3月23日に期間限定で開始した商品配送サービスで活用されている自動配送ロボット=出典:楽天・西友プレスリリース

実用化に向けた機運が高まる自動走行ロボット。自動運転技術によって無人でラストワンマイル配送を担う宅配ロボットの実証や実運用など、社会実装に向けた取り組みが大きく加速している。

政府が2020年12月に閣議決定した「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」によると、自動配送ロボットの制度整備に向け2021年春をめどに基本方針を決定し、新年度早期に関連法案の提出を目指す方針だ。







自動配送ロボットの実現はラストワンマイルに大きな変化をもたらすが、こうしたイノベーションを陰で支えるシステムインテグレーションもその存在感をより大きなものへと高めていく。

この記事では、自動配送ロボットの実現に必須となるシステムインテグレーションについて解説していく。

【参考】楽天と西友は自動配送ロボットの公道走行によるスーパーからの商品配送サービスを、2021年3月23日から期間限定で実施している。詳しくは「重たい米もOK!楽天&西友、パナ製自動配送ロボで国内初サービス」を参照。

■宅配ロボット実装のパターン

ラストワンマイルを担う宅配ロボットの利活用は、2つのパターンに大別できる。1つは小売店から近隣エリアに直接宅配するパターンで、もう1つはECなど通常の配送サービスに宅配ロボットを導入するパターンだ。

前者はローカルエリアでECを構築し、近隣住民への宅配を行う。従来の日常的な買い物を宅配ロボットに置き換える格好だ。一方、後者はエリアを限定しない既存ECの配送に宅配ロボットを導入する形となる。

新規ECサイトやフリートマネジメントシステムの導入が必要に

前者では、スーパーマーケットなどの各小売店、あるいは特定エリアのラストワンマイルを担う宅配事業者が宅配ロボットを導入し、サービスを提供する形式が考えられる。実用化初期は、この形式が主流となる。

小売店が導入する場合は、宅配ロボット開発会社のロボットを活用することになり、FMSも自動運転宅配ロボット会社側で用意したシステムを利用することになる。一方、自社ECで受注した商品の配送先や配送日時といった情報をFMSと共有するための「つなぎ」のシステムは、小売店側がシステム開発会社などに委託して独自に開発することが必要になる。

ちなみにECサイト側とFMS側が共有する必要がある情報としては、配送先や配送日時のほか、常温・冷蔵・冷凍のいずれかかや、壊れやすいものかどうか、なども含まれる。

事業者は、注文情報をもとに宅配物を積み込んだロボットを配達先に走行させ、適時注文者に配達状況を通知するが、こうした個別のタスクとは別に、ロボット全体の稼働効率を最適化するため、すべての注文情報をもとに各ロボットが最も効率的に配送できるよう運行マネジメントを行う。

こうしたタスクを行う上で、その都度「人」が介入していては自動化の意味がなくなる。各システムがしっかりと連携し、AI(人工知能)がフリート管理を行うなど、従来「人」が担っていたさまざまなタスクを無人化することが求められるのだ。

広域ECでは配送事業者間のシステム連携も必要に

全国規模のEC事業者が宅配ロボットを導入する場合は、複雑性はいっそう増すものと思われる。ヤマト運輸や佐川急便といった従来の宅配事業者が宅配ロボットを導入するケースであれば問題なさそうだが、ラストワンマイルのみ担う宅配ロボット事業者を利用するケースでは、1つの取引に複数の事業者が介在することになるためだ。

一般的な宅配ロボット事業者はミドルマイルを担えないため、ヤマト運輸などの長距離輸送事業者が必要不可欠となる。ミドルマイル事業者が各地域の宅配ロボット事業者の集配拠点まで荷物を運び、そこからロボットが活躍するイメージだ。

この場合、宅配ロボット事業者との契約は、EC事業者が直接行う場合とミドルマイル事業者が行う場合の2通り考えられる。いずれにしろ、EC事業者、ミドルマイル事業者、宅配ロボット事業者が注文情報を共有し、それぞれシステムを連携させる必要が生じるはずだ。

■物流におけるシステムインテグレーションの必要性
重要性増すシステムインテグレーション、プラットフォーム需要も増加

宅配ロボットの登場は、エリア限定ECサイトやラストワンマイル特化型のFMSなど、ロジスティクス上に新たなシステムをいくつも誕生させる。こうした各システムがしっかりと連携・連動し、ロジスティクス全体が効率化されて初めて社会全体にメリットが生じることになる。

既存のシステムを含め、あらゆるシステムを連携させていくシステムインテグレーションの需要が大きく伸びていくことになりそうだ。

また、最新のルーティング最適化機能などを備えたFMSや、エリア限定ECサイトといったプラットフォームの需要増も考えられる。大手スーパーやショッピングセンターなど自前でECを構築できる小売もいるが、個人商店なども含めエリア内の各種事業者が参加しやすい「地域EC」「ローカルEC」などの需要が急増する可能性がありそうだ。

こうした点も見据えたシステムインテグレーションの波が物流業界に起こることが想定される。

宅配ロボットが物流版MaaSを加速する?

別の観点では、宅配ロボットの登場がミドルマイルとラストワンマイルの分業化を促進し、ミドルマイルのシステム再編などにもつながっていく可能性も考えられる。

小口多頻度が進む物流業界においては、宅配のみならずミドルマイルを含めた輸配送の効率化が求められている。同じエリアに荷物を運ぶ際、配送事業者や卸メーカーの各トラックが低い積載率で荷物や商品を運ぶのではなく、混載などにより積載率を高めて輸送効率を上げる取り組みなどが求められているのだ。

経済産業省が設置する「物流MaaS勉強会」は、荷主、運送事業者、車両の物流・商流データ連携と部分的な物流機能の自動化を図ることで、最適物流を実現すべきと提言している。

各運送事業者が個別最適化を図る一方、運行管理システム間のデータ連携などは進んでいないことを指摘し、トラックデータ連携の仕組み確立や混載などによる輸配送の効率化など、取り組みの方向性を示している。

こうした「物流版MaaS」の観点からも、ミドルマイルとラストワンマイルを明確に切り離す宅配ロボットがシステムインテグレーションを促進し、業界全体におけるイノベーションの起爆剤となる可能性もありそうだ。

■ストロボがシステムインテグレーションなどを総合支援

ここまで説明してきたように、自動配送ロボットの導入においてシステムインテグレーションが必要となるが、システムインテグレーションに関して知見を有していない小売店やECサイトの事業者がこうした課題を解決するのには、一定の難しさがある。

そんな中、自動運転ラボを運営する株式会社ストロボは、EC領域や宅配領域で自動運転車や自動配送ロボットの導入を支援する「自動運転宅配導入支援・PoC・実証実験コンサルティングサービス」を展開している。

このサービスでは、自動配送ロボットの選定やシステムベンダーなどのパートナーの選定のほか、システムインテグレーションなどについても支援しており、ECとFMSをつなぐシステム構築に悩んでいる小売店やEC事業者にとっては強い味方だ。

また、実際に公道で自動配送ロボットを実運用したり、実証実験をしたりする際には国や自治体などとの折衝も必要となるが、ストロボはこうした点でもサポートが可能だ。

■【まとめ】物流業界ではシステムインテグレーションによる全体最適化が必須に

各業界にデジタルトランスフォーメーションの波が押し寄せているが、物流業界においては、各事業者がこれまで築き上げてきたシステムにおいて協調領域となる部分を明確にし、システムインテグレーションを図っていく必要がある。個別最適化ではなく全体最適化を図る取り組みが求められているのだ。

全体最適化を図る考え方はまさに「MaaS」の観念そのものだ。大きな変化に抵抗は付きものだが、宅配ロボットが起爆剤となり、こうしたイノベーションを促進するかもしれない。

ミドルマイルを担う輸配送も近い将来自動運転化が進んでいくことも考慮し、業界を挙げたデジタルトランスフォーメーションに期待したい。

【参考】関連記事としては「自動運転宅配ロボ、公道走行を2021年度中に解禁か」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
登壇情報









関連記事