コネクテッドカー向けオープンプラットフォームの共同開発プロジェクトとして知られる「Automotive Grade Linux」(AGL)。オープンソースのソフトウェアであるLinux(リナックス)を自動車領域で応用することを促進しており、いま世界でその存在感が増している。
そのAGLのメンバー企業が開発した「コネクテッドカー」などに関するデモンストレーションなどが、米ラスベガスで2020年1月7〜10日に開催される世界最大の家電・IT見本市「CES 2020」で披露されることが分かった。The Linux Foundation Japanが2019年12月8日までに明らかにした。
■AGLの日本企業メンバーもデモや展示に参加
デモンストレーションは18社20以上に上り、展示会の期間中、AGLの日本のメンバー企業も展示を行う予定だ。
例えばトヨタ自動車は、AGLベースの次世代インフォテインメントシステムを搭載したSUV(多目的スポーツ車)「RAV4」の2020年モデルを展示し、トヨタグループの自動車部品大手デンソーと子会社のデンソーテンは次世代コックピットシステムをお披露目する。自動車メーカーとしてはそのほかマツダやスズキなども出展する。
車載ソフトウェア開発を手掛けるNTTデータMSEは、自動車の中で話し掛けるだけでさまざまな機能を利用可能な「ハイブリッドボイスエージェントサービス」を紹介する。このサービスもAGLベースで構築されたもののようだ。パナソニックも展示会に参加し、ヘッドマウントディスプレイなどを使用したAGL用の「先進HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)開発ツール」をお披露目するようだ。
ちなみにこうした展示は、1月8日に開催される「AGL Evening Reception & Demo Showcase」でも一般公開されるようだ。詳しくは「オンライン参加登録ページ」からも確認できる。
Linux FoundationにおけるAGL部門の担当幹部であるDan Cauchy氏は「AGLプラットフォームを低パフォーマンスプロセッサや低コスト車両での使用向けに最適化するためにAGLメンバーが成し遂げた驚くべき成果を展示することを、楽しみにしています」と報道発表で述べている。
■日本企業が存在感を示すAGLとは?
AGLは前述の通りThe Linux Foundationが主導するプロジェクトで、業界全体のイノベーションを推進している組織だ。自動車メーカー11社を含む150社以上のサプライヤーや技術系企業などが協力し、業界標準になり得る共通オープンプラットフォームの開発を行っている。Linuxと同様にAGLプラットフォームはどの企業でも誰でも使用や開発が可能だ。
立ち上げ当初は主に車載情報機器を対象に取り組みを進めていたが、現在ではインフォテインメントやテレマティックス、ヘッドアップディスプレイ、ADAS(先進運転支援システム)、自動運転など、さまざまな車載ソフトウェアへの対応を視野に共同開発を進めている。
ちなみにAGLのメンバーは日本企業の存在感が強い。最上位会員の「プラチナメンバー」にはデンソーやマツダ、パナソニック、ルネサス、スズキ、トヨタが名を連ね、ゴールドメンバーとしてもホンダが加盟している。
メンバー企業一覧は「https://www.automotivelinux.org/about/members」から確認できる。
【参考】関連記事としては「コネクテッドカー向け組織「AGL」に上海汽車が加盟、中国から初 トヨタなど参加の横断型組織」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)