警察庁が道路交通法改正試案に対する意見募集(パブリックコメント)を2019年1月23日までの日程で行っている。自動運転レベル3(条件付き運転自動化)相当の自動車の実用化に備えた内容になっており、業界関係者などにとっては必読だ。
自動運転レベル3は、通常時は自動運転システムが運転操作を担うが、緊急時は人がシステムと交代して運転をしなければならない段階を指す。このことを踏まえた上で、警察庁が公表している試案の内容を深読みしてみよう。
記事の目次
■①「自動運転装置」の定義
試案の中では「自動運転装置」の定義について言及している。具体的には「自動車を運行する者の運行に係る認知、予測、判断及び操作に係る能力の全部を代替する自動運転システム」のことを自動運転装置と規定する予定だという。
■②「運転」の定義
道路交通法改正試案では「運転」の定義についても触れられている。自動運転装置を活用した場合、それは「運転」と言えるのか?
試案では「同装置(※編集:自動運転装置のこと)を使用して自動車を用いる行為は法上の運転に含まれる」旨を規定する予定だとされている。つまり、システム側が運転操作を担っていても、それは「運転」と呼べるということだ。
■③「作動状態記録装置」を備える必要性
試案では、自動運転装置を使用する場合には、作動状態を確認するために必要な情報を記録する「作動状態記録装置」を備えていなければならないことを規定している。また、その情報を保存することも運転手は義務付けられる。
■④警察官が「作動状態記録装置」の記録情報の開示を求めてよいときは?
試案では、整備不良が認められる自動車が運転されているときについて、警察官は運転手に対して作動状態記録装置の記録情報の開示を求めることができるとしている。また、記録情報が確認できない場合は、メーカー側に記録を判読するための措置を求めることもできる旨が記載されている。
■⑤携帯電話やスマホの「使用」「注視」の禁止の適用除外
現行の道路交通法第71条第5号の5では、「携帯電話等の無線通話装置を保持して使用すること及び画像表示用装置の画像を注視することの禁止」と規定されている。簡単に言えば、スマホなどを使いながらの運転はダメだということだ。
この点について試案では、この規定の適用を受けないケースについて触れている。具体的には「自動運行装置を使用して自動車を運転する者は、一定の条件を満たさなくなった場合に直ちに適切に対処することができる態勢でいるなどの場合」だという。
■改正法施行は2020年を目標、将来的にレベル4以上想定の改正も
道路交通法の改正は自動運転社会の到来の前に必ず必要になる。今回の道路交通法改正では自動運転レベル3を想定したものだが、将来的には自動運転レベル4(高度運転自動化)以上を想定した改正も行われる。ちなみに今回の道路交通法の改正の施行目標は2020年とされている。
【参考】関連記事としては「警察庁、道交法の改正案発表 自動運転レベル3でのスマホ利用や読書可能に」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) December 20, 2018