テスラ、日本で「ロボタクシー」の商標出願

計4件の商標出願中と判明



米国でロボタクシー事業を展開するEV大手テスラ。このテスラが、日本でも2025年と2026年に「ロボタクシー」などの用語を商標出願していることが判明した。


現在審査中の案件は「ロボタクシー」や「サイバーキャブ」など4件だ。すでに一般化しつつある「ロボタクシー」は、果たして認められるのか。

自動運転×商標の最新動向に迫る。

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■テスラによる商標出願の概要

ROBOTAXIやCYBERCABなど4件申請中

現在判明しているのは、以下の4件だ。

  • ROBOTAXI(称呼:ロボタクシー):2025年4月出願
  • CYBERCAB(サイバーキャブ、サイバーカブ、サイバー):2025年4月出願
  • TESLA CYBERCAB(テスラサイバーキャブ、テスラ、サイバーキャブ、サイバーカブ、サイバー):2026年2月出願
  • TESLA ROBOTAXI(テスラロボタクシー、テスラ、ロボタクシー、ロボ):2026年3月出願

申請者はいずれも日本法人ではなく米国法人で、審査中となっている。余談だが、このほか2025年8月出願の「ROBUS(ローバス、ロバス、ロブス)」は2026年4月に無事登録されている。


日本国内でのロボタクシー事業を見据えての動き――と言いたいところだが、世界各国・市場向けに商標登録を進めているものと思われる。将来的なグローバル展開を見据えた取り組みの一環だろう。

「ROBOTAXI」の申請は、「第12類 乗物その他移動用の装置」と「第39類 輸送、こん包及び保管並びに旅行の手配」――を対象としている。

ロボタクシー車両として開発したサイバーキャブ=出典:Tesla公式サイト

テスラも「ロボタクシー」の登録は半分諦めている?

おそらくだが、日本では「ROBOTAXI」は不可となり、「CYBERCAB」は類似した商標の存在が焦点となりそうだ。テスラ自身、「ROBOTAXI」の登録が難しいことを察知し、「TESLA ROBOTAXI」など、頭にテスラを付けて識別力を高めているものと思われる。

「ロボタクシー」は現在、世界各国で一般的な用語となっており、却下される傾向にある。実用化される以前の10数年前であれば登録される可能性があったが、今では一般名詞として識別性に欠けると判断されるようだ。


実際、米国ではテスラが自社開発のロボタクシー専用車両を名称「ロボタクシー」として商標登録申請を行ったところ、2025年に米特許商標庁(USPTO)が申請を却下したようだ。

欧州でも、2025年10月にテスラが「ロボタクシー」という用語を申請しているが、欧州連合知的財産庁(EUIPO)によると2026年11月現在控訴審係属中となっている。この流れは、おそらく日本でも続くものと思われる。

テスラ、「ロボタクシー」の商標登録に失敗 米特許庁「一般的すぎ」

実装期以前は「ロボタクシー」登録が可能だった

なお、日本では2016年に「ロボタクシー」の商標が認められている。Waymoが米国で世界初のサービスをローンチ(2018年)するより前の話だ。そして、その出願人はディー・エヌ・エーだ。

ディー・エヌ・エーは2015年、自動運転技術を活用したロボットタクシー事業の実現に向け、ZMP(現ROBO-HI)と合弁ロボットタクシー株式会社を設立した。この流れで、「ロボットタクシー」という用語とともに「ロボタクシー」を申請したようだ。

当時、世界にロボタクシーは存在せず、グーグルがやっと米国内で自動運転による公道走行を成功させた時期だ。こうした時代に先々を見据えロボタクシー開発に着手していたディー・エヌ・エーとROBO-HIの先見の明……と言えるだろう。

ディー・エヌ・エーによる登録は初回の登録から商標期限の10年を過ぎたが、存続・継続となっているため、引き続き同商標を維持する構えのようだ。

欧州でも「Robotaxi」が2015年10月にRobotaxi Ltdという企業によって登録されている。同企業の存否は不明だが、商標の有効期間は2035年まで延長されている。

過去に登録された商標登録が更新され続ける限り、他社はその用語を利用できないのだろうか。気になったので調べてみたところ、商標法第26条の規定により、その用語が普通名称化して識別力を失った場合、権利行使が難しくなるという。

正露丸やホッチキス、エスカレーターなどがその代表例で、もともとは特定企業の商標だったものの、時代とともに一般化し、商標の効力を失って普通名称と認定されるに至ったようだ。

また、商標法第50条には不使用取消審判についても明記されている。商標が継続して3年以上使用されていなければ、登録の取消しを求めることができる。

ロボタクシーという商標も、いずれは同じ運命を歩むのかもしれない。現在、ディー・エヌ・エー自身は「ロボタクシー」をサービスなどとして展開しておらず、現時点でロボタクシーが同社の独自ブランドというイメージは定着していない。

他社がロボタクシーという用語を使用することに対し、同社はどのように考えているのか、気になるところだ。

米国では「Cybercab」の登録も苦戦中

テスラに話を戻すと、米国では「Cybercab」の商標登録も実現していない。なんと、フランスの飲料メーカーUniBevが先に商標出願していたという。同社は「Cybertaxi」「Teslaquila」といった後も出願しており、テスラは不正な先取り(商標スクワッティング)として異議申し立てを行っているという。

商標スクワッティングは、日本でも珍しくない。流行語などを無関係の第三者が先取りする――といった感じだ。テスラの異議が認められるか、商標買取のような形で決着をつけることになるのか、要注目だ。

自動運転関連の登録はさまざま

日本では、このほか「サムライロボタクシー」(太田秀人/2025年8月)が審査中、「ROBOTAXI READY PLATFORM」(STELLANTIS AUTO SAS/国際登録)が審査待ちとなっている。太田氏は、侍TAXI株式会社の代表取締役だ。

出典:PlatPat [JPP]
自動運転関連では、「自動運転車」「ロボカー」という用語も登録されている。出願人は大高邦彦氏で、その目的は定かではないが、こちらも2026年に更新されている。「ロボバス」「ロボットバス」「自動運転バス」は申請・登録ともに見当たらなかった。

このほか、以下などが登録されているようだ。

  • 「ゆっくり自動運転」(国立大学法人東海国立大学機構/2017年登録)
  • 「自動運転EXPO」(RX Japan株式会社/2018年登録)
  • 「自動運転 AI チャレンジ Japan Automotive AI Challenge」(公益社団法人自動車技術会/2019年登録)
  • 「日本自動運転協会」(小園薫/2020年登録)
  • 「SOMPO自動運転見守り」「自動運転デジタルリスクアセスメント」(損害保険ジャパン株式会社/2022年登録)
  • 「平和島自動運転協議会」(株式会社東京流通センター/2025年登録)

開発各企業も自社ソリューションなどを登録

目線を開発企業に変えてみよう。ティアフォーは「AIパイロット」「Milee」「ナノバス」「Logiee」「パイロットドットオート Pilot.Auto」など、ソリューション名をしっかりと登録している。

出典:PlatPat [JPP]
先進モビリティは「ASMobi」などを登録済みだ。「Advanced Smart Mobility(先進モビリティ)」の頭字語で、同社の略称として使用されている。

Turingは「Turing Machine」を登録済みのほか、「TuringPilot」が審査待ちとなっている。

Waymoは、日本進出を決めた2025年以降商標出願を積極化しており、「WAYMO DRIVER」「LASER BEAR」「DRIVEN BY WAYMO」や企業ロゴなどを出願中だ。

Pony.aiは、「PONYTRON」や「小馬智行」「PONYSIM」「POPO PALACE」「PONYWORLD」といった用語を出願している。PONYSIMは仮想シミュレーターで、PONYWORLDは自己学習型のフィジカルAIエンジンのようだ。POPO PALACEは不明だが、同社のマスコット「PoPo」に関連したものと推測される。

WeRideは、「WePod」「WePilot」などを登録済みだ。WePodは米国でも登録されているが、具体的に何を指すかは不明だ。

アマゾン傘下Zooxは、企業名「ZOOX」を2014年に国際商標登録している。その後、日本において個別に「ZOOX」や「ZOOX LABS」なども登録している。

Wayveは企業名とロゴのみの状況だ。Momentaは、「momenTa」「§AImomenTa」などを登録済みだが、2024年に申請した「momenta」は未だに審査中となっている。同名企業などが意外と多いようだ。

Aurora Innovationも企業名「AURORA INNOVATION」を2018年に登録している。

商標登録からも、開発各社の世界戦略が垣間見えるような印象だ。日本でしっかり商標を登録している企業は、日本進出を視野に収めている――ということだ。

■【まとめ】ロボタクシーは将来普遍的な存在に

「ロボタクシー」商標の登録は世界的に困難となり、今後自社名を付すなど識別性を高めた名称登録が増えるものと推測される。

将来、各社がロボタクシーサービスを実用化し、完全に普及・定着した場合、その開発車両・サービスは開発企業ごとに識別されるのか、運用するタクシー事業者の色で識別されることになるのか……など、コンシューマー側の認識が変化することも考えられる。

ロボタクシーはどのフェーズで普遍的な存在となるのか、道路交通社会のイノベーションに期待したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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