Googleロボタクシー ついに寒冷地のデトロイトでも完全無人走行開始

雪道、ぬかるんだ道、凍結道路など攻略



出典:Waymoプレスリリース

雪が降る寒冷地の街で、運転席に誰もいないロボタクシーが走り出した。米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)が10月6日、自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)、フォード(Ford)、ステランティス(Stellantis)が拠点を構える自動車産業の中心地デトロイトで、ドライバーなしの完全無人走行を始めた。

現時点で乗車できるのは当面ウェイモの社員のみで、一般向けの提供時期は決まっていないが、寒冷地でロボタクシー市場が広がる可能性が見えてきた。


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■寒冷地デトロイトで始まった「完全無人走行」

完全無人走行とは、運転席にもドライバーが座らず、乗客だけを乗せて走る運用を指す。ウェイモはデトロイトで数か月にわたり、運転手が運転席に座る形で市街地の道路に車両を慣れさせてきた。今回はその次の試験段階にあたる。

10月6日の開始に合わせ、ウェイモは声明で、ダウンタウンと周辺地区で走行を続けながら、時間をかけてデトロイト大都市圏全体へ広げていく考えを示した。

現時点で乗れるのは、ウェイモの社員だけだ。同社は、安全に運行するための枠組みを整える間は社員限定とし、技術が検証されてから一般の乗客に開く方針を示している。

デトロイトは、ウェイモにとって11番目の提供都市となる見通しだ。同社は一般向けの開始前から、将来の利用者にアプリを事前にダウンロードするよう呼びかけている。


【自動運転ラボの視点】
雪や路面凍結は、自動運転タクシーが越えるべき最難関の一つだ。自動車産業の中心地で、社員限定とはいえ無人走行に踏み出したのは大きな一歩となる。この冬の走りが、寒冷地でのロボタクシー市場拡大を占う分かれ目になるだろう。

■中国製ミニバンとジャガーが走る、デトロイトのテスト環境

デトロイトを走る車両の主力は、電動ミニバンのOjaiだ。中国のGeely(ジーリー)グループ傘下の電気自動車ブランドZeekr(ジーカー)が車体を製造し、中国から米国へ運んだうえで、ウェイモがアリゾナ州の施設で自動運転システムを搭載する。スライドドアを備え、最大4人が乗れる設計だ。

Ojaiが搭載するのは、ウェイモの自動運転システム「Waymo Driver」の第6世代だ。この第6世代によってOjaiが冬の条件でも走れるようになったといっても過言ではない。

もう一つの車種であるI-PACEは、これまでウェイモの車両群の中心だった。ウェイモは今回、OjaiとI-PACEの2種類をデトロイトで使っている。


自動運転システムを載せた完成車のコストは、Ojaiが6万〜7万ドル、I-PACEが14万〜15万ドル前後だ。Ojaiは中国製で関税がかかっても、I-PACEよりかなり安いという。自動運転タクシーの採算に直結する車両コストの面でも、Ojaiの存在感は大きい。

■雪と氷が自動運転に突きつける試練

ウェイモが寒冷地の街としてデトロイトを重視してきたことは、公式発信からも読み取れる。同社は2025年10月の公式ブログで、冬の能力を磨くために運用を広げている雪の多い都市として、デトロイト、デンバー、ワシントンD.C.を挙げた。

デトロイト周辺との縁は古い。ウェイモは2016年にミシガン州ノバイに開発拠点を開き、2017年秋にはデトロイト大都市圏で雪や氷を想定した公道試験を始めると発表した。公式ブログによると、その後もデトロイトで冬の試験を重ね、ミシガン州北部のアッパー半島でのより激しい雪の中の走行でも進展があったという。

技術面では、センサーに雪を溶かす熱の仕組みと自動洗浄の機能を備える。雪に覆われた道、雪が融けてぬかるんだ道、凍結した道を見分けて走り方を変えられるよう、人工知能による状況判断も強化している。

ロボタクシーはこれまで、冬の厳しくない都市を中心に広がってきた。そのため、雪と氷が入り混じるデトロイトの冬をドライバーなしで迎えるのは、これが初めてとみられる。ウェイモはシカゴでも地図作成と走行データの収集を始めており、寒冷地への展開を広げている。

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■デトロイトが示した受け入れ姿勢

デトロイトでのウェイモの運行は、ミシガン州が規制している。市の側では、デトロイト市モビリティイノベーション局が、公式な開始に先立ってウェイモと定期的に会合を重ねてきた。目的は、警察と消防を含む市の機関が、安全で円滑な導入を支えられるよう備えることだ。

市で事業革新と新興産業を担当するDeputy Chief(副責任者)のRyan Michael氏は、ウェイモの到着を、デトロイトがモビリティ革新の中心であることを示すまた一つの証しだとした。寒冷地での自動運転の技術革新が続くことも歓迎している。

市はあわせて、過去に実施した寒冷地での自動運転の実証や、高齢者と障害のある住民を対象にした自動運転の実証で得た知見も共有してきたという。

住民の受け止めはさまざまです。ドライバーへの不安を抱かずに済むと歓迎する声がある一方、不安を口にする人もいる。

■寒冷地で始まったGoogle系ロボタクシーの完全無人走行

今回の動きは、自動車メーカーの本拠地と、IT系の自動運転企業との距離を象徴する。GMやフォード、ステランティスが拠点を置く街で、Google系のウェイモが無人のロボタクシーを走らせ始めた。

一方で、まだ試験の段階であることも押さえておきたい。乗れるのは社員のみで、一般向けの時期は決まっていない。ウェイモは累計2億7000万マイル超の完全自動運転走行を重ね、重傷や死亡につながる衝突が人間のドライバーより95%少ないと主張している。ただし、これは同社の公表値だ。雪と氷の中での実績が加われば、この主張の重みは変わる。

自動運転タクシー市場では、ウェイモの存在感がすでに大きい。調査会社の調査によれば2026年の世界シェアでウェイモが22.01%で首位に立つという予測結果もある。

寒冷地で無人のロボタクシーは走り続けられるのか。答えが出るのは、デトロイトに雪が積もる季節だ。ウェイモの冬の走りは、ロボタクシー市場が温暖な都市の外へ広がれるかを占う、大きな分かれ目になる。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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