テスラ、トヨタ車にもStarlink提供へ

マスク氏「数十億台の車両に」



テスラのイーロン・マスク氏が「将来的にはすべての車にStarlinkが搭載される。数十億台の車両に超大容量の通信を提供するには、それしか方法がない」とX(旧Twitter)に投稿し、話題を呼んでいる。


全世界の四輪車は全てのメーカーを含め約16億台で、トヨタ車への搭載も提供する考えとみられる。

この発言は、テキサス州で目撃されたTesla(テスラ)の試作車「Cybercab(サイバーキャブ)」のリア部分に、Starlink(スターリンク)の車体一体型アンテナとみられる装置が搭載されていたことを巡る議論への反応として投稿された。

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■自動運転を推進するTesla

Teslaは電気自動車(EV)メーカーとして広く知られているが、カメラやAIを活用し、車両自体が周囲の状況を認識して自律走行する完全自動運転技術の開発に注力している。

その先にある構想が「ロボタクシー」だ。これはドライバーが乗車せず、完全自動運転による無人タクシーサービスを指しており、ハンドルやペダルを持たない専用車両「Cybercab」の開発を進めている。


【参考】関連記事としては「テスラのロボタクシー、「宇宙経由」でネット通信」も参照。

テスラのロボタクシー、「宇宙経由」でネット通信

■なぜ「大容量通信」が必要なのか

自動運転車は、車載コンピューターが即座に周囲を認識して走行判断を行うため、通信が一時的に断絶しても安全に停車・走行できるよう設計される。しかし、システム全体を円滑に運用・管理するためには継続的なネット通信が欠かせない。

具体的には、自動運転AIソフトの定期的なアップデート(OTA)、リアルタイムな高精度地図や交通情報の共有、車載カメラ等の走行データの収集、そして無人タクシー群の遠隔監視・管理などに大量のデータ通信が発生する。

世界中で膨大な数の自動運転車が同時に稼働する未来において、従来の地上携帯電話網(5G/LTE等)だけに頼ると、通信の混雑や基地局のカバー範囲外(地方・山間部など)での遅延・切断が懸念される。

そこで不可欠となるのが「もう一つの通信手段」だ。

■SpaceXの「Starlink」とは?

Starlinkは、マスク氏が率いるSpaceX(スペースX)が展開している衛星インターネットサービス。地球の低軌道(LEO)を周回する無数の小型人工衛星群を利用し、空が見通せる場所であれば地球上のほぼどこからでも高速・低遅延のブロードバンド通信を提供する。

乗用車やロボタクシーに搭載すれば、地上の携帯電話基地局のインフラ状況に依存しない独立した通信網を確立できる。

Cybercabの試作車で確認されたフラットな一体型アンテナは、従来の大きなパラボラ形状から車載向けへの小型化・エアロダイナミクス対応が着実に進んでいることを物語っている。

■「一つのゴール」

Tesla車以外を含むさまざまなメーカーの全車両へのStarlink搭載に向けては、当然、過酷な外気温度や振動・雨雪に耐える車載ハードウェアの耐久性確保に加え、大衆車へ組み込むための大幅なコスト削減が必要となる。

Tesla以外の自動車メーカーも衛星通信事業者との連携を模索しており、車載通信のあり方を変革する大きな潮流となりつつある。

マスク氏の「すべての車にStarlinkが搭載される」という発言は、単に車内で動画をストリーミング再生するための話ではない。

Teslaが目指す「自動運転車・ロボタクシー」の完全普及と、SpaceXが構築する「Starlink」の宇宙通信網。一見すると別々にみえる2つの事業は、数十億台の移動体を安全かつリアルタイムにつなぐ「次世代の社会インフラ構築」という一つのゴールで結ばれている。

【参考】関連記事としては「テスラの自動運転機能(FSD)とロボタクシーを徹底解説」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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