世界最高峰の大学が「自動運転チャリ」を開発

マサチューセッツ工科大のグループ



出典:MIT公式サイト

アメリカ・ボストンで開催された国際イベント「FAB26」で、自動運転自転車の Autonomous Bicycleが来場者の注目を集めた。開発を手掛けるのはMIT(マサチューセッツ工科大学)のCity Scienceグループだ。

MITが提案するのは自転車の新しいモビリティの形となる。シェアサイクルの利便性を高めるだけでなく、都市交通が抱える課題の解決にもつながる可能性を秘めている。


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■自律走行するAutonomous Bicycle

「MIT Autonomous Bicycle」は、シェアサイクル向けの研究プロジェクトで制作された。

最大の特徴は、利用者がスマートフォンアプリで自転車を呼び出すと、自転車自身が迎えに来ることだ。利用者が乗車し目的地に到着すると、自転車は自律走行モードへ切り替わり、次の利用者のもとへ向かうか、充電ステーションへ移動する。

■二輪から三輪へ変形する仕組み

自転車を自律走行させる上では、停止時や低速走行時のバランス維持が難しいが、安定性を高めるためにAutonomous Bicycleでは変形機構を採用した。


人が乗るときは二輪自転車として走行し、自律走行時には後輪が2つに分かれて左右へ広がり、三輪車へと変形することで安定性を確保する。この変形はリニアアクチュエーターによって行われ、必要に応じて二輪と三輪を切り替える構造となっている。

試作機には推進用モーターとステアリング用モーターが搭載されており、現在は遠隔操作による実験が行われている。将来的には、自律走行に必要なハードウェアやソフトウェアを統合し、完全な自動運転を目指している。

■シェアサイクルが抱える課題を解決!?

現在のシェアサイクルが抱える課題の例が「利用できる自転車が偏る問題」だ。

通勤ラッシュ時には、多くの利用者が同じ方向へ移動するため、自転車が一部のエリアに集中し、別の地域では一台も見つからない状況が発生する。


この偏りを解消するため、事業者はトラックなどで自転車を回収・再配置しているが、多くの人件費や燃料費が発生し、環境負荷も小さくない。

Autonomous Bicycleであれば、自転車自身が需要のある場所へ移動できるため、この問題を大きく軽減できる可能性がある。また、需要予測に応じて自動で待機場所を変更できれば、現在より少ない台数でも同等以上のサービスを提供できると期待されている。

■ラストワンマイルで期待

MITは、この自動運転自転車を公共交通と組み合わせることも想定している。

鉄道駅やバス停から目的地までの短い距離、いわゆる「ラストワンマイル」は、自動車では距離が短く徒歩では遠いケースも少なくない。

自律走行するシェアサイクルが利用者を迎えに来るようになれば、公共交通との接続性が向上し、自家用車への依存を減らせる可能性がある。

さらに、世界では都市人口の増加が続いており、交通渋滞や環境問題への対応は今後ますます重要になる。MITは、人が歩き、自転車で自由に移動できる「人間中心の都市」の実現を目標としており、この自動運転自転車はその構想を支える技術の一つと位置付けられている。

■交通の未来を変える可能性

Autonomous Bicycleは「自転車そのものが利用者のもとへ移動する」という、新しいシェアサイクルの姿を示した研究プロジェクトだ。完全な自律走行には今後の技術開発が必要となっているが、シェアサイクルの課題を解決する可能性がある。

自動運転技術は自転車やマイクロモビリティにも広がり始めている。都市の交通インフラが変化していく中で、MITのAutonomous Bicycleは未来の移動手段を考えるうえで注目すべき研究の一つといえる。

【参考】関連記事としては「自動運転に力を入れる「大学」一覧」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
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