2026年6月23日、自動運転にとって重要な1日が来る。国連が主催する世界の自動車規制の場「WP.29」で、自動運転の安全ルールを世界共通にするための採択投票が行われるからだ。日本・EU・韓国などが取り込む「UN Regulation(UNR)」と、米国・中国などが適用する「グローバル技術規則(GTR)」の二本立てで、世界の自動運転規制がようやく共通の土台を持こうとしている。
米国ではSELF DRIVE Actが議会を動き、中国は独自の強制基準を制定中。世界の自動運転規制が同時多発的に動く今、日本は何をすべきなのかを解説する。
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■「世界初の自動運転国際規則」とは
自動運転国際規則とは、各国がバラバラに作っている自動運転の安全基準を、世界共通の土台に統一しようという取り組みの産物だ。
この規則を作ってきたのがGRVA、国連が設置した自動運転専門の国際作業部会だ。2018年から約8年かけて草案をまとめた。2026年1月のセッションでその草案が正式に採択され、6月23〜26日のWP.29(世界の自動車規制を議論する国連の場)で採決にかけられる。
採択されるのは二本立てだ。日本・EU・韓国などが自国の法律に取り込む「UN Regulation(UNR)」と、米国・中国などが適用する「GTR(グローバル技術規則)」がある。日本が主に取り込むのはUNRの方で、採択後に道路交通法などの国内法整備が始まる。
規則の核心は「安全ケース(Safety Case)」という考え方だ。「時速〇km以下で停止せよ」といった細かい数値基準を押しつけるのではなく、「自動運転システムが慎重な人間ドライバー以上の安全水準で動作しなければならない」という原則のもと、各国が自国の法制度に合わせて適用できる枠組みを定める。GRVA議長のRichard Damm氏は「安全、革新、社会への信頼が同時に前進できることを示した」と述べた。なお採択されれば国際レベルでは即日発効するが、各国の国内法への取り込みは別途プロセスが必要だ。
今回の国際規則は「一つの答えを世界に押しつける」設計ではなく、各国が柔軟に適用できる枠組みだ。これは米国の「自己認証(self-certification)」制度と、日本・EUの「型式認定(type-approval)」制度という根本的な制度差を踏まえた現実的な設計でもある。
■米中欧がそれぞれ「自分のルール」を作る
世界の自動運転規制は今、それぞれの国が独自に動きながらも、共通の方向へと向かいつつある。
米国ではSELF DRIVE Actが2026年2月に正式提出され、連邦自動運転法の制定を目指している。NHTSAは同年1月から2月にかけてADS GTR草案へのパブリックコメントを募集し、6月の投票に向けた公式スタンスを最終調整している段階だ。米国はそもそもGTR策定のスポンサーであり、自国の自動運転産業の国際展開を見据えてGTR推進を主導してきた。
中国はMIIT草案「智能網聯汽車 自動駕駛系統安全要求」を2026年2月12日に公開し、2027年7月1日施行を目指している。一見「独自路線」に見えるが、草案の編制説明書には「UN ADS GTRの構造に従って国内基準を策定する」と明記されており、完全な独自路線ではない。さらにUNECE公式も「中国はGTRの構造に従って国内基準を策定する」と公式プレスリリースに記録している。上海では2026年2月にIWG/GRVAワークショップが開催され、残課題の技術調整会合が行われた。
UNECEは公式プレスリリースに各国の反応をこう記録している。「米国はGTRのスポンサー、中国はGTRの構造に従って国内基準を策定すると表明、日本はプロセスへの満足と成果を歓迎、複数の欧州諸国も歓迎した」。各国がそれぞれの事情を持ちながら、共通の枠組みを軸に動いているというのが実態に近い姿だ。
【参考】関連記事としては「米国で自動運転の「連邦法」がついに動き出す 爆速普及へ弾み」も参照。
■日本はどんな立場で関与しているのか
日本は自動運転の国際ルール作りに、二つの形で深く関わっている。
一つ目はISO(国際標準化機構)の議長国だ。自動車専用道路での自動運転に関する国際規格を日本が主導して2026年3月に発行し、2021年にも国連の自動レーン維持システム規格(UN R157)を日本主導で策定した実績がある。
二つ目はWP.29傘下の自動運転専門部会「GRVA」への参加だ。議長はドイツが務めるが、副議長は中国・日本・米国の三カ国が担っており、日本は国土交通省の担当官が副議長を務めている。議長ではないが、議論を動かす立場にある。
加えて、日本は2021年にホンダ レジェンドで世界初のレベル3市販車を実現した国でもある。「規格を作るだけでなく、実際に走らせている」という実績が、国際議論での日本の発言に重みを与えている。
【参考】関連記事としては「日本で自動運転レベル3の車種はどれ?ホンダ・トヨタ・日産は販売済み?」も参照。
■採択されたら日本はどう動く?
6月の投票でUNRが採択された場合、日本は道路交通法・道路運送車両法の改正を伴う国内取り込みプロセスを開始する。「安全ケース」アプローチというUNRの設計は各国の既存法制度と組み合わせやすく、日本の国内プロセスへの適合は比較的しやすい構造になっている。
日本国内ではすでに自動運転のレベル4実用化が具体的に始まっている。2026年1月には千葉県柏市でレベル4の自動運転バスが営業運行を開始したという報道があり、地方での過疎路線などから実装が進みつつある。
国交省は2025年度にレベル4の実用化推進を目標として定めており、UNRという国際的な枠組みを得ることで、日本の自動運転規制整備が加速する可能性がある。「国際標準に乗る」ことは、日本の自動運転規制を一気に世界水準に引き上げるチャンスでもある。
【参考】関連記事としては「自動運転は日本では可能?」も参照。
■「ルール作り」こそが「自動運転大国」の条件
技術力だけでなく「規制の枠組みを作る力」が自動運転産業の覇権を左右する時代に入った。6月のWP.29投票でUNRとGTRが採択されれば、世界の自動運転規制は初めて共通の土台を持つ。
日本はISO議長国としてISO 23792を発行し、GRVAの副議長として国際議論を動かしてきた。その実績を活かして国内での実装を急ぐことが次の課題だ。ISO・UNCECEで主動権を持ちつつ、国内市場での自動運転実用化を加速させるという両輪が、日本の自動運転産業の行方を決める。6月23日のWP.29セッションを、自動運転ラボでも注目して見ていきたい。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)