
トヨタの実証都市「Toyota Woven City」が2025年9月25日のオープンから早一カ月を迎えた。実証開始とともに、すでに一部住人が入居を開始しているようだ。
フェーズ1では最終的に300人規模の住人がWoven Cityで暮らす計画だが、その中には豊田章男・大輔親子も含まれるようだ。
豊田一族が住むWoven Cityの最新動向に迫る。
記事の目次
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■Woven City×豊田家
章男会長は自称町内会長?
オフィシャルローンチイベントでローンチ宣言した章男会長は冒頭、「この街に引っ越してまいります、マスター・ウィーバーの豊田でございます。マスター・ウィーバーは世話好きな町内会長のようなもので、「勝手に町内会長を名乗っている、近所のおじさんだと思っていただければ」と自己紹介した。
加えて、「やはりここは街というより未来のためのテストコース。そういう意味では、コースの管理人でもある。管理人といっても『あれやっちゃダメ。これやっちゃダメ』と言う人ではなく、『あれやってみたい。これやってみたい』を誰よりも大きな声で言う人」とした。
町内会長や管理人としての役割はさておいて、章男会長がWoven Cityの住人になることは間違いないようだ。
では、長男の大輔氏はどうか。公式リリースの中では大輔氏が自らの居住に言及した場面は見当たらないが、各種メディアによると大輔氏も初期入居者の一人とされている。
言うまでもなく、章男氏はCES2020でWoven City構想を発表した同シティの仕掛け人だ。会長職で忙しいだろうが、Woven Cityに住んで然るべき責任者と言える。
一方の大輔氏は、ウーブン・バイ・トヨタでシニア・バイス・プレジデント(SVP)を務めており、今日に至るまでWoven City事業をけん引してきた。今後もリーダーシップを発揮していくことが期待されているため、やはり大輔氏もWoven Cityに住んで然るべき責任者の一人と言える。
ある意味、章男氏がWoven Cityの生みの親で、大輔氏が育ての親となる。そう考えると、章男氏、大輔氏の親子がそろい踏みでWoven Cityに居を構えることになりそうだ。すでに移住済みかは不明で、本拠を移すとは考えにくいが、大輔氏は家族で引っ越してきてもおかしくなさそうだ。
なお、ウーブン・バイ・トヨタの隈部肇CEOも「私もウィーバー」と発言しており、居を構えているそうだ。
【参考】豊田大輔氏の経歴については「トヨタ会長の長男「大輔氏」、Woven Cityで出世か?」も参照。
■Woven Cityの反響
SNSでは海外からの声も
ローンチから約1カ月。SNSには、さまざまな反応がうかがえる。ウーブン・バイ・トヨタの公式Xには、以下のような声が寄せられた。
- この壮大な取組に興味津々です。大いに期待しています。
- 特区認定も法整備も本気でやろうとしない政府。CES 2020での発表では、トヨタの静かな怒りと、まだこの国に技術者が存在しているという希望を感じた。今後も、政府から嫌がらせがあるかもしれないが、未来を切り開いて欲しい。
賛辞ばかりではないものの、やはり期待する声が多いようだ。
一方、早くも見学に訪れた人たちもいるようだ。中に入れた人は、関係者だろうか。
・ようやく一部オープンしたWoven City、来てみた
https://x.com/yy80416/status/1978749199664521456
🚗ようやく一部オープンしたWoven City、来てみた😃#WovenCity #TOYOTA #WovenByToyota pic.twitter.com/cFWUTStnfQ
— rika (@yy80416) October 16, 2025
・visited woven city !
https://x.com/nobu_h_o/status/1976267175473315981
・トヨタのWoven City内、および周辺的な公道を走行するe-Paletteです。近未来の雰囲気
https://x.com/TechT50304055/status/1978741540173357547
この上の投稿は、自動車関連の技術コンサルティングを担うTech-T代表取締役の高原忠良氏だ。近隣公道からWoven Cityを見学し、e-Paletteが走行する様子を収めた動画を公開している。
また、海外勢からも注目を集めているようだ。
・The #design draws inspiration from the artistic conception and #textile culture of Shaoxing water town. The venues are woven together through a ribbon of public platforms on the second floor and connected to the city streets as part of the street network.
(このデザインは、紹興水郷の芸術的発想と織物文化からインスピレーションを得ている。各会場は2階の公共プラットフォームのリボンによって繋がれ、街路とも繋がっている)
https://x.com/ArchDaily/status/1661372368768344064
・TOYOTA just launched the first phase of its $10 B “WOVEN CITY” a living lab near Mt. Fuji built to test robots, AI & autonomous life. A city powered by hydrogen, coded by data, and designed to evolve. Not fiction. The world’s first programmable city.
(トヨタは、富士山麓に建設されたロボット、AI、自律走行車の実証実験施設“WOVEN CITY“の第一期プロジェクトを始動させた。水素で動き、データでプログラミングされ、進化するよう設計された都市。架空のものではない。世界初のプログラマブルシティだ)
https://x.com/whoisverm/status/1974999295175929997
インベンターズも取り組みを紹介
インベンターズの一社・上島珈琲店は、男性がコーヒーを飲んでいるところを分析しているような画像を添付し、「この画像は何でしょうか❓先日9/26にオープンした実験都市「Toyota Woven City」の中にある『上島珈琲店 Woven City店』。ここでは滞在中の実験参加者の様子をカメラで捉え、AIによる画像解析や参加者自身の気持ちの主観評価などを実施。店舗の環境やコーヒーの香り・味わいがヒトの集中力や作業パフォーマンスに与える影響を示すための実験を行います」と投稿している。
また、リプライでは「『上島珈琲店 Woven City店』はToyota Woven Cityにおいて、ここで生活する人々の交流や憩いとなるカフェ機能はもちろん、コーヒーが人々の創造性や生産性に与えるポジティブな影響を解明し、「コーヒーが持つ新たな可能性」を明らかにしていきます。先ほどご紹介した実証イメージのような研究により、コーヒーの持つ力を最大限に引き出すための飲み方や環境づくりを考案し、お客さまにとっての未来のコーヒー体験やアイデア創出を促すカフェ空間を創造します」と取り組みについて補足している。
将来的には、スマートウォッチデバイスなどを用いてバイタルデータを計測し、コーヒーを習慣的に飲み続けることで人の心や身体の健康に生じる変化を調査する実証や、対話や会議など対人的な場面におけるヒトの音声や画像などのデータを測定し、コーヒーが介在することでヒトのコミュニケーションに与えられるポジティブな影響を調査する実証などを計画しているという。
【参考】関連記事については「トヨタWoven City、居酒屋が来月開店へ!コンビニなどの求人も続々」も参照。
■Woven Cityの動向
モビリティの常識に挑み続ける場
Woven Cityは、モビリティの再定義を試みるトヨタの生きた実験場だ。クルマの枠にとらわれず、ヒト、モノ、情報、そしてエネルギーを動かし、モビリティの常識に挑み続けるべく、さまざまなモビリティを生み出し、試すテストコースに位置付けられている。
静岡県裾野市に位置するトヨタ自動車東日本の東富士工場の跡地70.8万平方メートルを活用し、一からまちを構築している。未完成をコンセプトに据えており、完成されたビジョンはもたず、まちとして改変・改良を続けていく構えだ。
フェーズ1は4万7000平方メートル分の造成地を開拓し、2025年9月25日にローンチした。フェーズ1でどこまで整備されているかは不明だが、シティ内には、自動運転モビリティ用の道と歩行者用の道、歩行者とスピードが遅いパーソナルモビリティが共存する道の3種類を独自設計し、これらの道を網の目のように織り込んで街区を形成していく。地下にも物流ネットワーク用途に特化した第4の経路を設置する計画だ。
初期インベンターズは20者
Woven Cityには、トヨタとともにさまざまな研究開発を行うInventors(インベンターズ/発明家)と、同シティで生活をしながらさまざまなプロダクトやサービスを体験し、フィードバックするWeavers(ウィーバーズ)が存在する。ウィーバーズには来訪者も含まれる。
インベンターズが取り組む研究や実証・サービスをウィーバーズが実際に試し、評価することで生きたフィードバックを得て、改善を重ねやすい環境を提供する。
インベンターズは2025年10月現在、ダイキン工業、ダイドードリンコ、日清食品、UCCジャパン、増進会ホールディングス、インターステラテクノロジズ、共立製薬の7社と、トヨタ、ウーブン・バイ・トヨタ、豊田自動織機、ジェイテクト、トヨタ車体、豊田通商、アイシン、デンソー、トヨタ紡織、トヨタ自動車東日本、豊田合成、トヨタ自動車九州のトヨタグループ12社、そして、音に関する実証やWoven Cityのテーマ曲などをプロデュースするナオト・インティライミを加えた20者の参画が決定している。
また、スタートアップや起業家、大学・研究機関など企業・個人を対象としたアクセラレータープログラム「Toyota Woven City Challenge – Hack the Mobility – 」も10月半ばまで募集していた。
応募状況は公開されていないが、1次~3次選考を経て2026年3~5月に最終選考と採択結果が発表され、最長18カ月の実証を開始する予定となっている。
【参考】関連記事については「トヨタWoven City、実証企業に「現金100万円」プレゼント」も参照。
各社の取り組みは徐々に具体化
Woven Cityローンチを迎え、インベンターズ各社の取り組みも具体性を増しているようだ。UCCジャパンは前述した上島珈琲店の取り組みを行う。
ダイキン工業は花粉レス空間を生み出す空調・換気システムや、パーソナライズされた機能的空間を生み出す空気、映像、音、香りの統合制御システムの検証を行う。
ダイドードリンコは、空間に調和する新しい自動販売機「HAKU(ハク)」の1号機をWoven Cityに設置した。商品サンプルやボタン、コインの投入口が無い常識を覆す新発想の自動販売機で、前面がディスプレイになっており、画像や映像を投影することでその場の雰囲気に合わせたカスタマイズができるという。商品購入時はQRコードを読み取り、端末上で商品を選択してキャッシュレス決済を行うようだ。
日清食品は、栄養最適化テクノロジーを駆使した「最適化栄養食」メニューによる「健康寿命の延伸」を見据えた実証を行う。ウィーバーズを対象としたコミュニティ「NISSIN FOOD INNOVATORS CLUB」を立ち上げ、オリジナルハンバーガーをはじめとした最適化栄養食メニューの開発を進めるほか、e-Paletteなどトヨタのモビリティを活用した継続的に利用したくなる仕組みやサービスの構築も目指す。
増進会ホールディングスは、ナーサリースクールを開園し教育分野でのスクール運営の実証を行う。2026年度にはエレメンタリースクールとアフタースクールの開校も予定しており、教育分野での最新テクノロジーを活かした実証を順次開始する予定としている。
インターステラテクノロジズは、自社拠点が中心となるがトヨタの技術を交えながらエンジン製造能力の強化などを図り、新規工法開発や高頻度打上げの実現に向けた原価低減、工期短縮に向けたサプライチェーン強化においても支援を受けていくという。
共立製薬は、ペットと人の共生を推進するための都市ガイドラインの策定や、さまざまな都市機能の仕組み・ルール作り、交通インフラの検討など、各種取り組みの実証を行う予定としている。
【参考】関連記事については「トヨタWoven City、ホリエモンが「居住特権」獲得か」も参照。
インベンターズにトヨタが出資?
トヨタは2025年10月、ウーブン・バイ・トヨタをはじめとするトヨタグループや関連会社と社外の企業との連携をいっそう促進し、モビリティカンパニーへの変革をさらに加速するため、戦略投資枠1,000億円の新しい戦略投資子会社「トヨタ・インベンション・パートナーズ(TIP)」を設立した。
また、グロースステージのスタートアップに投資を行うウーブン・キャピタルは、2021年開始の1号ファンドと同様8億ドル(約1,200億円)規模の2号ファンド「Woven Capital Fund II」を設立した。
TIPは、国内のアーリーステージのスタートアップや企業、発明家との事業連携に重点を置いた出資を長期的な目線で行い、新たな価値を継続的に創造していく方針としている。出資にとどまらず、出資先企業にトヨタの人財やモノづくりの知見など幅広い資産を活用してもらい、トヨタとの「掛け算」による長期的な協業体制の構築も目指す。
Woven Cityに参画する国内のアーリーステージのインベンターズも含め、創業から日が浅い企業から事業が成熟した企業まで、ビジョンを共有する企業とともにモビリティの創造を推進していくとしている。
■【まとめ】未来の当たり前を作る場に
隈部CEOの言葉を借りると、Woven Cityは「未来の当たり前を作るテストコース」だ。その当り前は、現時点においては当たり前ではなく、「いろんな可能性を信じてトライして、結果的に残ったものが当たり前になる」という。
10年20年後の当たり前がどのような形でWoven Cityから生み出されていくのか。常識の枠にとらわれない各社の取り組みに要注目だ。
【参考】関連記事としては「トヨタWoven City、遠すぎる?東京からは「◯◯時間」」も参照。











