中国の自動車メーカー大手である広州汽車集団(GAC Motor)傘下で、スマートモビリティプラットフォームを手掛けるRuqi Mobility(如祺出行)は、広州市南沙区で完全無人運転の自動運転タクシー(ロボタクシー)サービスを開始したことを発表した。ウェブメディアのBitAuto.comが報じた。
報道によれば、ロボタクシー車両にはトヨタが自動運転向けに開発した「シエナAutono-MaaS」をRuqi Mobilityがカスタマイズした新世代ロボタクシーモデルである「GAC Toyota Sienna Autono-Maas(S-AM)」を採用しているという。中国で完全無人のロボタクシーサービスの商業デモの運行は初のことのようだ。
▼Ruqi Mobility公式サイト(英語版)
https://ruqimobility.ai/
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■改造型トヨタ車を用いたロボタクシーサービス
Ruqiによる無人のロボタクシーで導入されたGAC Toyota Sienna Autono-Maas(S-AM)には、中国の自動運転開発企業Pony.aiの第6世代自動運転ハードウェアとソフトウェアが搭載されている。
この車両は南沙区内の高速道路を除いた全てのオープンテスト道路で無人での商業デモ運行を実施する資格を取得し、有料サービスを開始した。
「完全無人」のこのロボタクシーサービスを利用するためには、ユーザーはあらかじめRuqi Mobility WeChatミニプログラムのホームページ上、もしくはスマホアプリのプラットフォーム上で「無人自動運転」にエントリーをする必要があるようだ。実際にタクシーの配車を依頼する際に、「人間のドライバーによる走行」、「安全補助要員(セーフティドライバー)が同乗する自動運転による走行」、そして今回スタートした「完全無人のロボタクシーサービス」の3つのオプションから選択するという仕組みになっているという。
■GAC傘下のRuqi Mobility
GAC傘下のスマートモビリティプラットフォーム企業であるRuqi Mobilityは、レベル3と4の自動運転車の運行とV2X(Vehicle to Everything:自動車とさまざまなモノとの間で通信や連携を行う技術)サービスの導入を主力事業としている企業だ。
2022年には、オープンなロボタクシー運行技術プラットフォームを立ち上げ、有人のライドシェアカーとロボタクシーのハイブリッドサービスを商業的に運営する世界初のモビリティプラットフォームとなった。2024年6月にレベル3自動運転の公道試験の許可を取得し、同年7月には香港証券取引所への上場を果たした。
Ruqiのロボタクシーサービスは、広州市南沙区のほか、深センなど多数のエリアをカバーしている。また、広東・香港・マカオ協力区の主要地域でロボタクシーサービスを提供している唯一のライドシェアプラットフォームとなっている。
同社は2024年10月末時点で280台以上のロボタクシーを運行に統合しており、そのうちの50台以上は自社が運営する車両だという。ロボタクシーサービスの稼働時間は累計3万時間を超えており、1,800以上の駅をカバーし、総走行距離は90万キロ近くに達している。
なおRuqiは、「ON TIME」というブランド名でも知られている。自動運転サービスやライドシェアサービスにおいては、ON TIMEという名称が使われている。
■テンセントも注目する有力企業
Ruqi Mobilityには、中国のIT大手・テンセントも出資していることで知られている。
Ruqiには自動運転プラットフォーマーとしてのインフラ基盤は十分にあり、今回のサービス開始によりさらにデータ活用が進めば、同社のスマートドライビングテクノロジーの商用化は加速していくだろう。ロボタクシー分野において世界で頭角を現している中国企業。2025年もその勢いは続きそうだ。
【参考】関連記事としては「激安!中国で「初乗り料金が4分の1」の自動運転タクシー登場。人気確実か」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)