Google系の自動運転開発企業である米Waymoは、ドライバーレスの自動運転タクシーの商用運行を米国の3都市で行っている。この自動運転タクシーの運行が、このほど週に10万回を超えたという。
2024年5月に週5万回の運行を達成したばかりの同社だが、急スピードで自動運転タクシーの拡大を進めていることが分かる。Waymoの一強状態はこのまま続くのだろうか。
■運行回数はわずか3カ月で倍増
Waymoは、アリゾナ州フェニックス、カリフォルニア州サンフランシスコ・ロサンゼルスの3都市でドライバーレスの自動運転タクシー(ロボタクシー)を展開中だ。保有車両は約700台になるようだ。
2024年5月に週ごとの乗車数が5万件を超えたばかりであったが、その後の約3カ月間に急ピッチでサービスエリアを拡大し、10万回の乗車件数を達成した。
■コスト削減にも取り組むWaymo
ロボタクシーに用いられている車両はジャガーのプレミアムEV「I-PACE」で、Waymoの最新の自動運転技術が搭載されている。しかし自動運転化するためにはコンピューターやカメラ、センサーなどが必要になるため、非常に高価なものになっている。
そのためWaymoは現在コスト削減に取り組んでいる。次世代の自動運転ソフトウェアに必要なカメラは、これまでの29台から13台に、レーザーは5台から4台に減少することが可能になる。
このWaymoの第6世代の自動運転システムは、中国の自動車メーカーGeely(浙江吉利控股集団)のEV「Zeekr」に組み込まれており、2024年8月19日に発表されたばかりだ。Zeekrでのテスト走行はすでにスタートしているが、サービス開始時期については未定のようだ。
なおWaymoとGeelyは2022年から手動制御装置を備えないロボタクシー専用車の開発に取り組んでいる。
▼Meet the 6th-generation Waymo Driver: Optimized for costs, designed to handle more weather, and coming to riders faster than before
https://waymo.com/blog/2024/08/meet-the-6th-generation-waymo-driver/
■米国のロボタクシー実用化の現状
Waymoは2018年に世界で初めてロボタクシーを商用展開した。一時はWaymoのライバルとして米GM傘下のCruiseも商用運行を行っていたが、2023年10月に起こした人身事故の影響により運行をストップした。現在はサービス再開に向け手動運転によるデータ収集を行っている段階だ。
EV大手の米テスラはロボタクシー向けの新型車両を2024年8月に発表予定だったが、最近、10月に発表を延期している。
テスラよりも先にロボタクシーの商用化を実現すると予想されるのが、米アマゾン傘下の自動運転開発企業Zooxだ。同社はネバダ州ラスベガスで自動運転タクシーサービスを一般開放することを発表している。2024年内のサービス化を目指しているようだ。
独走状態に見えるWaymoだが、ロボタクシー走行中の危険運転や周囲への騒音などがたびたび問題になっている。今後、Waymoの牙城を崩す候補になるのはZooxになるのか。注目だ。
【参考】関連記事としては「Googleの自動運転車、深夜に「集団クラクション」エラー!住民が不眠症に」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)