岸田文雄首相は2024年4月22日に開催されたデジタル行財政改革会議において、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業に関する法制度について、論点整理を行い、5月中に規制改革推進会議に報告するよう指示した。ライドシェアの全面解禁の議論が本格化する。
首相としての在職期間が戦後8位となった岸田首相。現在のライドシェア法制は極めて限定的との批判も多く、在職期間中にライドシェアの全面解禁は行われるのか。そして低迷する岸田政権の支持率はライドシェアの全面解禁によって、50%程度まで回復するきっかけとなるのか。
【参考】関連記事としては「ライドシェアとは?仕組みは?(2024年最新版)日本の解禁状況や参入企業は?」も参照。
■ライドシェアの全面解禁での注目点
一般客を有償で運ぶ営利目的のライドシェアは、今月、「自家用車活用事業」の枠組みで解禁された。しかし、「日本版ライドシェア」と称されるこの仕組みでは、ライドシェアの運行事業者はタクシー事業者に限定されており、海外のライドシェア大手であるUberやDiDiが直接参入できない状況だった。
今回の岸田首相の指示通りに事が進めば、この状況が今後どうなるのかの方向性が、5月中に規制改革推進会議で報告されることになる。主なポイントは、タクシー事業者以外もライドシェア事業を行えるようになるかだが、ライドシェアの今後については他にも注目すべき点はある。
今後、「ギグワーカー的にライドシェアのドライバーとして働くことができるようになるか」や、「いつでもどこでもライドシェアを展開できるようになるか」だ。
- ギグワーカー的にライドシェアのドライバーとして働くことができるようになるか
- いつでもどこでもライドシェアを展開できるようになるか
現在では、ライドシェアのドライバーはタクシー事業者に雇用されなければ、ライドシェアで稼ぐことは実質できない。雇用を伴う場合、当然、事前面接などの入社試験を伴うことになる。海外では自由な働き方を求めてライドシェアドライバーになる人も多いという実態があり、現在の状況のままではライドシェアのドライバーは集まりにくい。
また現在ではタクシーが不足している地域・時間に限定してライドシェアが解禁されているが、こうした制限を無くして全国どこでもいつでもライドシェアが展開できるようになるのかもポイントだ。
■自家用車活用事業の実施状況
デジタル行財政改革会議では、自家用車活用事業の実施状況についての報告もあった。東京では44事業者(389人)による運行回数が2,308回で、1台1時間あたりの運行回数は約1.5回だった。
運行回数は4月8日(神奈川は12日)から4月15日までの累計で、資料では「今後増加見込み」とされている。
▼「地域交通における「担い手」「移動の足」不足への対応」及び「自動物流道路・ETC専用化に向けた対応状況」について|国土交通省
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_gyozaikaikaku/kaigi5/kaigi5_siryou5.pdf
日本版ライドシェアの展開状況とともに、今後のライドシェア全面解禁に関する議論に注目していきたい。
【参考】関連記事としては「ライドシェアの法律・制度の世界動向(2024年最新版)」も参照。