自動運転開発スタートアップの米May Mobility(メイ・モビリティ)は2023年11月14日までに、シリーズDの資金調達を行ったことを発表した。一般的に、シリーズDラウンドはイグジット(IPOやM&A)が視野に入った段階であり、同社の上場に向けた機運が高まってきた。
今回のラウンドで同社は、1億500万ドル(約160億円)の資金を調達した。リードインベスターとなったのは、日本のNTTだ。あいおいニッセイ同和損害保険も出資している。
May Mobilityは、米国やカナダ、日本において自動運転技術とサービスの高度化や商業化を加速させていくという。
■トヨタ含む日本の大企業が出資
今回のシリーズDラウンドを主導したNTTは、May Mobilityの自動運転システムの日本国内独占販売権を獲得した。なお、シリーズBラウンドではトヨタが、シリーズCではスパークス・グループがリードインベスターを務めている。
NTTは、自動運転に関する車両の提供を含む取り組みにおいてトヨタと連携しており、交通課題を抱える複数の地方自治体との協働を通じ、まずはコミュニティバスによるサービス提供に行う予定だ。その後、自動運転車両をさまざまな車種に拡大していくようだ。
この事業においてNTTグループは、車両や自動運転システム、通信ネットワーク、遠隔監視などの自動運転サービス普及の仕組みを提供する体制を構築するという。
また、あいおいニッセイ同和損保は、米国でMay Mobilityの自動運転車両の一部に同社の米国完全子会社が開発する保険ソフトウェアを搭載し、走行データのリスク分析などを目的とする実証実験などに取り組む。それにより得た知見・ノウハウや、May Mobilityが行政とともに展開する自動運転シャトルバスのビジネスモデルを、日本国内のあいおいニッセイ同和損保の協業パートナーや連携協定先の地方自治体との取り組みに還元していくという。
■ソフトバンクも採用するMayの自動運転技術
May Mobilityは、ミシガン大学の自動運転開発チームのメンバーにより2017年に設立された。独自開発のMPDM(Multi-Policy Decision Making)システムを武器に、自動運転車の実用化に取り組んでいる。
2021年2月に東京都に日本法人を設立、2021年3月〜2022年5月に広島大学のキャンパス内で自動運転シャトルの運行を行った。
2022年6月にはソフトバンクと業務提携した。2023年1月からソフトバンクが開始した自動運転の走行経路の設計や遠隔監視の運行業務などをAI(人工知能)で完全無人化する実証実験では、May Mobilityの自動運転システムが使用された。
また2022年9月に、米ミネソタ州でトヨタのAutono-MaaS車両「シエナ」を活用した公共交通プログラムがスタートすることが発表された。2023年4月には、アリゾナ州で初のオンデマンド型自動運転公共交通サービスすることを発表した。
■日本でのサービス展開も近い!?
日本企業からも注目を集めるMay Mobility。同社による自動運転サービスが日本で展開される日も近そうだ。
▼May Mobility公式サイト
https://maymobility.com/
【参考】関連記事としては「トヨタ、さすがの出資判断!米May、自動運転サービスを実現」も参照。