近畿大の熱中症対策が凄い!自動搬送ロボで冷たい飲料を配布

Hakobotと実証実験、荷室をカスタマイズし



出典:Hakobotプレスリリース

自動配送ロボットの開発を手掛ける株式会社Hakobot(本社:宮崎県宮崎市/代表取締役:大山純)はこのほど、屋外走行可能な新型自動配送ロボットを活用した共同研究を、近畿大学と開始した。古殿幸雄教授(経営学部経営学科)のゼミと取り組む。

同社はホリエモンこと実業家の堀江貴文氏が取締役を務めることでも知られる。今回の共同研究の一環として、Hakobotの自動配送ロボットの「なんでも載せられる」という特長を生かし、市販のクーラーボックスを荷室に設置し、近畿大学のオープンキャンパスに来場する高校生にミネラルウォーターを自動配布するという実証実験を2023年9月24日に実施する。


また、それに先駆けて報道機関向けの走行テストの公開を9月22日に行うという。

■労災リスクと熱中症リスクに対応

Hakobotはすでに近畿大学で、新型自動配送ロボットを用いての実証実験をスタートしている。同大学東大阪キャンパス内を遠隔操作で走行させ、ロボットに搭載されている各種センサーで取得した点群データをもとに、キャンパスの3Dマップ生成を行なうというものだ。

作成した3Dマップを活用し自動運転の実装を行い、オープンキャンパスでは完全自動運転での実証実験を行う。これを行うのは、今年が猛暑であり屋外イベントで熱中症のリスクが高まったということが背景にあるという。

会場内で自動配送ロボットがドリンクを配布することにより、スタッフ側の労災リスクと来場者の熱中症リスクを共に下げる活用が見込めるのではという発想から、今回の取り組みが行われる。


出典:Hakobotプレスリリース
■市販のクーラーボックスを活用

実証実験では、イベント会場などでの自動配送ロボットの利用を意識して、オープンキャンパスに来場した高校生に近畿大学のオリジナルミネラルウォーターを配布する。

Hakobotの自動配送ロボットのカスタマイズできる荷室機構をフル活用し、宅配用途に作られたデフォルトの荷室ではなく、今回の実証実験用に市販のクーラーボックスを取り付けて走行させる。使用される走行ユニット「Hakobase」は、これのみで自動運転実装が可能で、荷室は用途に応じてカスタマイズしたものを取り付けられるセパレート設計になっている。

■「なんでも載せられる、しっかり運ぶ」

2018年設立のHakobotは、「なんでも載せられる、しっかり運ぶ」をコンセプトに、走破性が高くシンプルな操作性を実現する配送ロボットの開発を進めている。

2018年11月に制御盤の設計・製造などを手掛ける三笠製作所と資本関係を視野にいれた業務提携を、2023年8月にねじ商社のサンコーインダストリーと資本業務提携を締結した。


同社の製品であるHakobaseは荷室がカスタマイズできるほか、4輪駆動4輪操舵(4WD4WS)のオリジナル設計という特長がある。パワフルな走りを実現する4WDと小回りのきく4WSをかけ合わせることにより、優れた走破性を実現しているという。また自動運転システムはSLAMを採用し、自動運転に必要な各種センサーをコンパクトに走行ユニットに収めて設計を行っている。

自動配送ロボットの「カスタマイズ可能な荷室」は大きなポイントで、さまざまな場面での活用が見込まれる。今回の実証実験を機に、イベント会場で実用化されることを期待したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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