中国で300万円の自動運転EV!トヨタ・プリウスより低価格に

「中国版テスラ」のXPeng、DiDiとタッグ

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中国のEV(電気自動車)ベンチャーであるXPeng Motors(小鵬汽車:シャオペン)が、新たな自動運転EVを発売する計画を立てている。

同社は2024年に新しいEVブランドを立ち上げるため、中国のライドシェア最大手であるDiDi(滴滴出行)と戦略的パートナーシップを結んだことを2023年9月3日までに発表した。この提携により、自動運転EVの技術開発を加速させるという。

2024年に販売予定の自動運転EVの価格は、15万人民元(約300万円)になる予定だ。ちなみに、非自動運転車のトヨタの「プリウス」の新車のメーカー希望小売価格は税込320万円からだ。比較すると、最先端の自動運転車をかなり安めで展開しようとしていることが分かる。

なお、自動運転レベル3を世界で初めて搭載したホンダの新型「レジェンド」の価格は税込み1,100万円だった。

■プロジェクト名は「MOMA」

XpengとDiDiの戦略的提携の内容は、Xpengが3.25%の株式を発行し、DiDiが戦略的株主となるというものだ。取引額は約7億5,000万ドル(約1,092億円)にも上るようだ。

Xpengはこの資金を元手に、「MOMA」というプロジェクト名で大衆向け自動運転EVの開発を加速させる。この新ブランドのもとで発売されるAクラスのモデルは2024年に発売予定で、Xpengの他のブランドとは差別化される。

Xpengの会長兼CEO(最高経営責任者)であるHe Xiaopeng氏は「DiDiは世界をリードするモビリティ・テクノロジー・プラットフォームとして、未来のモビリティ体験を形づくるというXpengのビジョンを共有している」とDiDiとの提携についてコメントした。

また「新ブランドのもとで発表される自動運転EVは、当社の規模を大幅に拡大するだけでなく、当社のスマートEV技術の大衆市場セグメントへの採用を加速し、我々の技術をより幅広い顧客層に提供することになる」との展望を語っている。

■Xpengのこれまでの自動運転開発
出典:Xpeng公式サイト

Xpengは、かつてモバイル向けブラウザの「UCWeb」を共同創業し、2014年にアリババに売却した経歴を持つHe Xiaopeng氏により、2014年に中国で共同設立された。He Xiaopeng氏は1977年生まれ、もう1人の創業者であるXia Heng氏は1983年生まれという、若きリーダーによる企業だ。

なおXpengはEV企業としてめきめきと頭角を現し、また自動運転開発にも積極的であることから「中国版テスラ」とも呼ばれている。

同社は2021年6月に、2モデル目となる市販EV「P7」から、バレー・パーキング・アシスト(VPA)が可能なソフトウェアを展開することを発表した。

また2022年2月には、自動運転開発を手掛ける新会社「Guangzhou Pengxu Autonomous Driving Technology」を設立した。XpengのEVに自動運転レベル4の技術を搭載させ、自動運転タクシーとして使う計画で、Xpengの本拠地がある広州で試験運用を開始するという。

■中国の自動運転業界を牽引する2社がタッグ

DiDiもまた、自動運転開発部門にあたるグループ子会社を持つなど、自動運転技術の開発に注力している企業だ。スウェーデンの自動車メーカー・ボルボカーズとは、2021年5月に自動運転分野で戦略的パートナーシップを結んでいる。

同社の会長兼CEOであるCheng Wei氏は今回のXpengとの提携について、「DiDiはシェアリングや電動化、スマートモビリティの推進に専念してきた。またXpengはスマートEV技術とインテリジェント運転技術において、リーダー的地位を確立している。両社は協力し、運輸業界と自動車業界の変革を推進していく」と語っている。

中国の自動運転分野を牽引している2社のタッグによる自動運転車の発表に注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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