日産グループでクルマの開発を手掛ける株式会社日産オートモーティブテクノロジー(本社:神奈川県厚木市/代表取締役社長:大伴彰裕)の第40期(2023年3月31日現在)決算公告が、このほど官報に掲載された。
第40期の当期純利益は前期比21%減の35億2,000万円であった。過去3期の当期純利益の推移は、以下の通りとなっている。
<純損益の推移>
・第38期:△28億6,000万円
・第39期:△44億5,700万円
・第40期:△35億2,000万円
※△はプラス、▲はマイナス
■決算概要(2023年3月31日現在)
賃借対照表の要旨(単位:百万円)
▼資産の部
流動資産 37,408
固定資産 2,126
資産の部合計 39,535
▼負債及び純資産の部
流動負債 9,311
固定負債 664
株主資本 29,559
・資本金 100
・資本剰余金 4,500
・利益剰余金 24,959
・・利益準備金 25
・・その他利益剰余金 24,934
・・(うち当期純利益 3,520)
負債及び純資産の部合計 39,535
■自動運転用センサーに関する取り組みも
1985年設立の日産オートモーティブテクノロジーは、日産グループのエンジニアリング集団として、自動車や関連機器の開発を手掛けている企業だ。
商品企画・デザインを行ったのち、車両プロジェクト統括、設計に入る。設計するのは車体のほか、内外装、電子、シャシー、パワートレイン、電動パワートレインと、クルマに関わるもの全てに及ぶ。
内外装部品の設計については、担当部品だけでなく、自動運転用センサーの先端技術の組み込みもCAD(コンピューターによる設計)やCAE(コンピューターによるエンジニアリング)、実験で評価を行い、性能要件とデザイン性・実用性を両立させているという。
■日産の自動運転戦略は?
日産の自動運転戦略にも触れて記事を締めくくろう。日産自動車は現在、自動運転レベル2(部分運転自動化)の技術を「Pro PILOT(プロパイロット)2.0」として、一部市販車に搭載している。
2022年6月には、三菱自動車との合弁NMKVとともに、新型軽EV(電気自動車)を発表した。日産モデルは「日産サクラ」、三菱自動車モデルは「eKクロスEV」として販売される。先進運転支援機能として、日産サクラにはプロパイロット、eKクロスEVには「マイパイロット」が導入されるという。
2022年11月に、日産自動車の現地子会社がモビリティサービス事業を手掛ける新会社「日産モビリティサービス有限公司」を設立したことを発表した。中国でのモビリティサービスへの投資と、自動運転タクシー(ロボットタクシー)サービスの事業展開を目指すという。国際的な自動車メーカーで、中国にロボットタクシー専門の会社を設立するのは同社が初めてであった。
日産自動車が自動運転やADAS(先進運転支援システム)事業を強化する中で、日産オートモーティブテクノロジーの役割も今後ますます高まっていきそうだ。
※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。
【参考】関連記事としては「日産の自動運転戦略」も参照。