三菱電機、「自動移動ゴミ箱」を開発 準天頂衛星みちびきを活用

搬送用ロボットの積載部にダストボックス



出典:ヴィソン多気・プレスリリース

あるプレスリリースで、気になるロボットを見つけた。自律走行が可能な「自動移動ゴミ箱」だ。開発者は三菱電機だというが、どのような機能が搭載されているのだろうか。

このロボットは、2023年6月16〜18日に開催されたG7三重・伊勢志摩交通大臣会合にあわせ、国土交通省国土交通事務次官が三重県多気町の商業リゾート施設「VISON(ヴィソン)」を視察するという発表において、紹介されているものだ。


プレスリリースでは、VISONと連携市町の地域DXの取り組みとして、BOLDLYの自動運転車両と三菱電機の自動移動ゴミ箱、パーソナルモビリティに触れられている。

▼G7三重・伊勢志摩交通大臣会合にあわせ 国土交通省幹部がVISONを視察
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000100235.html

■搬送用ロボの積載部にダストボックス

三菱電機はラストワンマイル物流・配送をはじめ、さまざまな用途での利用が期待される「搬送ロボット(AMR)」のサービス開発に積極的に取り組んでいる。

搬送用ロボットの積載部は用途に合わせて自由に変更でき、その1つが積載部をダストボックスにした自動移動ゴミ箱だ。紙、プラスチック、その他という3つの投入口があり、分別でのゴミ捨てが可能になっている。


現在、VISION施設内の所定コースで実証実験を行っており、誰でも利用可能だ。大型リゾート施設ではゴミ収集に手間がかかり、かつゴミ箱そのものが景観を損ねるという課題があり、その解決に寄与するとされている。

三菱電機の公式サイトによれば、三菱電機が設計・製造を行った準天頂衛星システム「みちびき」による高精度測位技術と高精度3次元地図データを組み合わせ、安全で正確な自律走行を実現しているという。

搬送ロボットにはカメラやセンサーも搭載され、車両周辺の状況を確認しながら安全な走行を可能にしている。

▼搬送用ロボット(AMR)サービス | CEATEC2022 | 三菱電機
https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/special/convention/ceatec2022/amr/


出典:三菱電機公式サイト
■自動移動ゴミ箱を活用しての実証実験も

2023年1月、三菱電機とNTTデータが共同でAI(人工知能)による空調自動制御を行う施設マネジメントのユースケース実証を行った。この実証ではNTTデータ品川ビルにおいて、温湿度センサーを搭載した自動移動ゴミ箱が、移動しながら収集した温湿度の情報と時刻を空間IDにリンクさせて、空間ID基盤システムに連携するという検証が行われたようだ。

なお、空間IDとは国が整備を進めているデータ規格で、特定の場所や地物情報を一意に識別するための識別子のことを指す。この実証は、デジタル庁から受託した「デジタルツイン構築に関する調査研究」の一環で行ったという。

■VISONではパーソナルモビリティ実証も

三菱電機は自動移動ゴミ箱のほか、パーソナルモビリティの実証もVISONで行っている。広い敷地内では移動距離が長くなりがちであり、歩くだけで疲れてしまい、滞在が楽しめない場合もある。そこでパーソナルモビリティを用いることで、特に高齢者などの移動をスムーズにすることができる。

三菱電機×自動運転、三菱電機×モビリティの取り組みは、今後も広く関心を集めていきそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事