「枝」も「起伏」もノープロブレム?愛知で自動運転バス実証実施へ

損保ジャパンやNTTが県から受託



愛知県で自動運転移動サービスに関し、交通事業者などにより再現可能なビジネスモデルの完成度をさらに高めることを目指し、2023年度の「自動運転社会実装プロジェクト推進事業」が始まっている。


その一環として、NTTコミュニケーションズを幹事会社とし、アイサンテクノロジーや損害保険ジャパン(損保ジャパン)、ティアフォー、岡谷鋼機の5社が共同体として愛知県から委託を受け、無人自動走行を見据えた遠隔管制システムを用いた実証実験を行う。

この実証実験では、枝などの落下物や起伏のある経路での自動走行を検証するという。

■Autoware搭載の小型バス車両を使用

実証実験は「将来の無人自動走行に向けた検証」をテーマに、愛知県長久手市の「モリコロパーク(愛・地球博記念公園)」で行われる。

検証する項目は大きく分けて2つある。1つ目は「外周園路の自然環境等に対応した自動走行技術の検証」で、枝などの自然落下物や停車中の管理用車両などの自動回避、起伏のある経路での自動走行を検証する。


2つ目は「無人自動走行に向けた遠隔監視体制の構築」で、将来の無人走行を想定した車内の乗客と遠隔監視席との円滑な音声や画像の通信を検証する。また車内などでの緊急対応時のオペレーションも検証するという。

使用するのは、タジマ社製「GSM8」をベースに、ティアフォーが開発するオープンソースの自動運転OS「Autoware(オートウェア)」を搭載した小型バス車両だ。

出典:損害保険ジャパン・プレスリリース
■NTTコミュニケーションズが事業統括

NTTコミュニケーションズが事業統括や通信環境構築、ネットワークソリューションの提供、遠隔管制者、車両の調達などを担当する。測量大手のアイサンテクノロジーは、3Dマップの作成や社内保安員、走行調律作業を担う。

自動運転開発を手掛けるティアフォーは、自動運転車両や自動運転システム、遠隔管制システムの提供を行う。また岡谷鋼機は社会実装に向けたアドバイスを実施し、損保ジャパンが自動運転リスクアセスメントを提供する。


出典:損害保険ジャパン・プレスリリース
■最終的な実証ルートや開催時期は今後決定

実証実験を行う各ルートにおいては、以下の7つの取り組みを進めていくという。

  • 安全性・リスクの分析
  • 事業性の分析
  • 社会的受容性の分析
  • 法的課題の分析
  • 各地域の実装主体の特性に応じたビジネススキームの具現化
  • 実装に向けてのチーム内調整
  • 実装までのロードマップの作成

最終的な実証ルートや開催時期は、愛知県警察や施設管理者などとの調整を経て決定するようだ。今回の事業の進捗に注目していきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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