自動運転技術、ゴルフ場管理をDX化!白線なしでも無人芝刈り

西武造園が取り組みをスタート



出典:西武造園プレスリリース

ゴルフ場の運営・管理に欠かせない芝刈り。現状、芝の整備作業は人間が芝刈り機を使って行っているコースがほとんどだ。

一方、西武グループの造園・緑地事業専門会社である西武造園株式会社(本社:東京都豊島区/取締役社長:大嶋聡)では、無人・自律走行型の芝刈りロボットを2023年度から2カ所のゴルフ場で導入している。


フェアウェイ用の芝刈り機に走行制御システム「I-GINS(アイジンズ)」を搭載したロボットで、西武造園はデジタル技術を活用した新たなコース管理・DX化の取り組みをスタートさせている。

■RTK-GNSSと慣性航法で自車位置を検出

I-GINS(アイジンズ)は「I-GINS(Integrated-GPS Inertial Navigation System)」の略で、RTK-GNSS(※2つの地点を同時に観測して測位を行う手法のこと)と慣性航法により自車位置を検出し、あらかじめ作成された経路を独自のアルゴリズムで機体誘導する走行制御システムだ。電子機器事業やICT事業を手掛けるマミヤ・オーピーが開発している。

このシステムにより、夜間や霧などで視界が悪い環境や不安定な地形でも、機体の位置や姿勢を正確に把握可能だという。ゴルフ場での自動運転は、自動車での自動運転技術とは異なり、道や車線といった走行の目印になるようなものが無いという特徴がある。しかしI-GINSを活用することにより、ゴルフ場でも経路通りに機体を誘導することが可能になる。

出典:西武造園プレスリリース(※クリックorタップすると拡大できます)
■スマホの専用アプリで管理が可能

I-GINS搭載の芝刈り機は、フェアウェイ上の起伏があるような地形でも均一で見た目の美しいゼブラカットやダイヤモンドカットが可能で、外周刈りもラフの境⽬を明確に仕上げることができるという。


また刈込頻度を上げることにより、芽数が増え雑草の発生抑制や蒸散による排水不良個所の改善、芝草の活性向上による病害軽減効果が期待できる。

障害物検知センサーとバンパーセンサーが前後にそれぞれ搭載されており、進行方向に障害物を検出した場合、機体を減速・停⽌させ、登録のスマートフォンに通知する。刈り取り中に機体が停止した場合は、刈り残しがないよう少し後退してから作業を継続するという賢い機能もある。さらに、芝を傷つけないように加減速やリールの昇降・回転動作、旋回動作などについて、要望に応じて調整することが可能となっている。

スマホの専用アプリで操作のほか、車両の現在地点や進捗率、終了予定時間なども確認でき、作業の中断や再開もアプリで行うことができるという。


■ゴルフ場で一足早く自動運転技術が普及!?

西武造園はI-GINS搭載芝刈り機の導入について、従来のゴルフ場管理で発生していたコースメンテナンスに関する作業の人手不足やコスト高、メンテナンス時間の捻出などの課題解決が期待できるとしている。

RTK-GNSSや慣性航法は、自動運転車でも使われている技術だ。自動運転技術は、一般道路より私有地であるゴルフ場の方が制限が少なく取り入れやすいため、クルマの自動運転化より速いスピードでゴルフ場の自動化が今後進んでいく可能性は高い。

【参考】関連記事としては「自動運転でゴルフボール回収!打ちっぱなしに革命」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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