米自動車大手GM(ゼネラル・モーターズ)のトップが、GM傘下で自動運転車の開発を手掛けているCruise(クルーズ)についての見解を述べている。
米メディアが報じているもので、GMのCEO(最高経営責任者)であるメアリー・バーラ氏が「自動運転車は2030年までに市場に登場する可能性が高く、年間500億ドル(約7兆円)の利益をもたらす」と語ったという。
【参考】関連記事としては「GM Cruiseの自動運転戦略(2023年最新版)」も参照。
■現在は年間20億ドルの損失
バーラ氏はCruiseについて「巨大な成長機会」と捉えており、個人向け自動運転車は2030年までに市場に登場する可能性が高いと語ったという。さらに、現在Cruiseは年間20億ドル(約2,800億円)の損失を出しているにもかかわらず、自動運転車の実用化により年間500億ドル(約7兆円)もの利益を得ることが可能だと見積もっているようだ。
同氏はまた、GMが中国でEVを発売しようとしていることについて、動きが遅すぎたと自己批判を展開している。なおGMブランドのシボレーとキャデラックは、今後1年半の間にEVを発売する予定があるが、その性能が中国でのシェアを回復させるために重要になると付け加えている。
■傘下でCruiseが自動運転タクシー展開
2013年設立のCruiseは、2016年3月にGMに買収された。なおGMとGM Cruise、ホンダの3社は2021年1月に、日本での事業展開に向け協業に合意している。
2021年4月には、ドバイで自動運転タクシーを独占的に運行する契約をドバイ道路交通局と結び、2023年からドバイで自動運転タクシーの運行を開始することを発表した。
自動運転タクシー関連については、2021年6月に米カリフォルニア州からドライバーレスでの自動運転タクシーのサービス許可を取得した初の企業となった。2022年2月にサンフランシスコで自動運転タクシーサービスを開始、同年6月からは有償でのサービスを行っている。
2022年9月には、自動運転タクシーサービスを年内にもアリゾナ州フェニックスとテキサス州オースティンに拡大していく方針をCruiseのカイルCEOが明かしている。また2023年2月には、無人運転による走行距離が100万マイル(約160万キロ)に達したことを発表した。
■GMトップ、自動運転事業の成功に自信
順調に事業を拡大しているようにも見えるCruiseだが、リコールや交通トラブルなどの問題も浮上している。
Cruiseの自動運転タクシーは2022年6月に交通事故を起こし、サンフランシスコで展開中の自動運転タクシー80台のソフトウェアを全てリコールした。さらに2023年3月にも、バスに追突する事故を起こし、リコールを届け出ている。
そのほか、同社の複数台の自動運転タクシーが複数車線を占拠する形で停止したり、消防車の行く手を阻んだり、交差点で歩行者の進行を妨げたりといった、さまざまなトラブルも起こしている。
先行投資に莫大な費用がかかる自動運転開発。前述のようなトラブルも起きているが、GMトップの発言からは自動運転事業の成功への自信が見て取れる。また、中国市場へ注力していくことも改めて分かった。今後も注目だ。
▼GM Cruise公式サイト
https://www.getcruise.com/
【参考】関連記事としては「GM Cruiseの幹部「我々の自動運転車は飲酒運転しない」」も参照。