東大発の自動運転ベンチャー、先進モビリティの業績は!?

第8期決算、当期純損失は5,569万円



出典:官報

東京大学発ベンチャーの先進モビリティ株式会社(本社:東京都目黒区/代表取締役社長:青木啓二)の第8期 (2021年6月1日〜2022年5月31日)決算が、このほど官報に掲載された。

同社は2014年6月に設立された東京大学発の自動運転技術開発ベンチャーだ。第8期決算では、負債・純資産合計が11億7,969万円となっている。そのうち、当期純損失は5,569万円であった。


官報に掲載されている第6期決算と比較すると、第6期の負債・純資産合計は11億6,989万円、当期純損失3,833万円となっている。第6期の売上高は15億1,611万円。(第8期の決算公告では売上高の記載はない)

■決算概要
貸借対照表の要旨(単位:千円)

資産の部
流動資産 1,177,617
固定資産 2,079
資産合計 1,179,696
====
負債及び純資産の部
流動負債 142,915
固定負債 73,601
株主資本 963,179
資本金 95,000
資本剰余金 726,008
資本準備金 699,748
その他資本剰余金 26,260
利益剰余金 142,170
その他利益剰余金 142,170
(うち当期純損失 55,692)
負債・純資産合計 1,179,696

■産官学で連携、さまざまな実証

先進モビリティは、車両用自動運転システムの開発や車両開発、自動運転車の運用サポートなどを手がけている企業だ。「トラック自動運転隊列走行システム」「無人運転バスの開発」「要素技術の開発」を通じ、運転手不足の解消や地方公共交通の活性化を目指している。

自動車メーカーや電機メーカーとの共同開発を進めるほか、産官学で連携し、自動運転システムの実用化に向けさまざまな実証実験に参加している。


たとえば自動運転トラック隊列走行では、2021年に経済産業省・国土交通省が実施する「トラックの隊列走行の社会実装に向けた実証」プロジェクトにおいて、新東名高速道路の一定区間を、3台の大型トラックが時速80キロで車間距離約9メートルの車群を組んで走行することを実現した。

また自動運転バスにおいては、2021年に中部国際空港内での移動手段を想定しての実証や、神奈川県横浜市での中型自動運転バスの実証などに参加。2022年には、栃木県小山市や広島県呉市での実証に参加した。

ちなみに2021年4月には損害保険ジャパンと共同で、後続無人の隊列走行向け自動車保険プランを開発したことを発表している。

■今後の実証実験の成果に注目

先進モビリティは内閣府が主導する「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)・自動走行システム」への参加でも注目された企業だ。今後の実証実験の成果にも関心が集まる。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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