使い勝手、一から見直し!トヨタMaaS「my route」が刷新

利便性向上はUI・UXがカギを握る



出典:トヨタファイナンシャルサービス・プレスリリース

トヨタ系のMaaSアプリ「my route(マイルート)」が、UI(ユーザーインターフェース)を刷新した。利用者の声をもとに使い勝手を一から見直し、利用頻度が高い機能やサービスのインターフェースをモデルチェンジしたという。

MaaSアプリの肝は、UIやUX(ユーザーエクスペリエンス)にあると言っても過言ではない。my routeもこうした点を重視し、ユーザー目線で使い勝手の向上を図ったようだ。my routeがどのように生まれ変わったのか、刷新内容を見ていこう。


■my routeの刷新内容
ホーム画面を一新、各機能へのアクセスを改善

my routeを運営するトヨタファイナンシャルサービスによると、ホーム画面となる「おでかけ情報」画面からすべての機能にアクセスしやすくし、各画面ともにおでかけニーズに素早く対応できるようデザインを一新した。

また、ウェブサイトやSNS、雑誌で目にした気になる場所やイベント情報などを登録し、自分だけのお気に入り情報をまとめられる「おでかけメモ」機能や、毎日利用する最寄り駅・バス停の交通の情報を一目で確認でき、遅延情報や時刻表、対応路線のバスの現在位置をワンタップで確認可能な「myステーション」機能なども新たに実装した。

おでかけ情報も拡充
出典:トヨタファイナンシャルサービス・プレスリリース

おでかけ情報の提携先も拡大している。新たに「ぐるなび」と「OZmall」の情報が利用できるようになったほか、キュレーションメディア「antenna*」の協力のもと「トレンド」コーナーを設置した。「休日お散歩プラン」「国内旅行」「毎日グルメ」の各カテゴリーにおいて、antenna*と提携する約15社のサイト情報を楽しむことができる。

このほか、福岡の情報誌・情報サイト「NASSE」「フクリパ」に「my routeにメモ」ボタンを配置し、ワンクリックで情報をmy routeに取り込む仕組みも導入した。提携先については今後順次拡大を目指す方針だ。


UIの変更関連では、ルート検索を電車・バス検索モードとマルチモーダル検索モードに分け、検束速度の高速化を図ったという。また、知覚の交通スポットを探して時刻表やバスロケーション、予約導線の確認を行うことができる。「食べる」「買う」「遊ぶ」「観る」の各ボタンをタップすると、スポット表示することもできる。

チケット機能もUIを変更し、回数券や施設券、セット券なども拡充しさまざまな商品を提供していくとしている。

出典:トヨタファイナンシャルサービス・プレスリリース(※クリックorタップすると拡大できます)
■my routeとは?
広域展開可能なMaaSアプリ、現在11県でサービス提供

my routeは、さまざまな移動手段の検索・予約・決済に至るまで、移動に関する一連の機能をひとつのアプリで行うことができるMaaSアプリだ。鉄道やバスなど、各エリアで協力する交通事業者の移動サービスを取りまとめ、シームレスな移動を実現するほか、イベントスポットや店舗情報などの提供を行い域内のにぎわい創出や移動機会の増加を図る。

my routeの対象エリアは順次拡大予定で、2023年2月時点で神奈川県(横浜市)、富山県(全域)、愛知県、愛媛県(今治市)、福岡県(福岡市・北九州市・糸島市)、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県(宮崎市・日南市)、沖縄県でサービスが提供されている。おでかけ情報は全国で使用可能だが、デジタル交通チケットの購入などが可能なエリアは上記となる。


利用者の声は?

my routeは、Google Play やApp Storeでこれまでにどのような評価を得ているのか。2023年2月時点において、Google Playでは265件のレビューがあり、平均点は2.6、App Storeでは360件、平均2.7点となっている。

こうしたレビューは不満の声の方が集まりやすいため平均して高評価を得るのは難しいが、Google Play、App Storeともに星1つの評価が最多となっており、改善すべき点は多かったようだ。

レビューの中からいくつか抜粋すると……

  • 「いざ降りるときに表示させようとしたら『アップデートが必要です』としか表示されず、バス代を二重にとられた」(2019年4月)
  • 「初回乗車時の時間が短縮され便利だが、見にくいため乗務員に再掲示を求められることがある」(2021年4月)
  • 「毎日通勤で使っており、最近はチケットを見せる反応が早くなって使いやすくなった」(2021年12月)
  • 「一日乗車券を扱うアプリとしてまずまずだが、券を示すのに時間がかかる」(2021年6月)
  • 「エラーで乗車券が買えないことがある」(2022年1月)
  • 「アプリリニューアル後に強制アンケート画面がよく出るようになった。フリーパス利用中はやめてほしい」(2023年2月)
  • 「ver4.0で検索性が大きく悪化した」(2023年2月)

MaaSアプリとしての機能そのものは有用なものと受け入れられているが、やはりUI面における使い勝手やエラーを指摘する声が散見されるようだ。特に、デジタル乗車券を提示する際の使い勝手を指摘する声が多い。

my routeに限った話ではないが、降車時におけるエラーはスムーズな移動を阻害するもので、エラーにより二重支払いを強いられるケースなどは致命的な部類と言える。まずは、デジタル乗車券をスムーズかつ確実に提示できるシステムが必須となりそうだ。

また、通勤などで日常的に使用する利用者にとっては、エリア情報などが不必要な場合もある。シンプル・軽快に活用できるよう、普段使用する機能を絞って表示できるような仕組みもあると良いのかもしれない。

my routeはこまめにアップデートを繰り返しており、改善意欲が高い。改善に向け、レビューに対し直接返答するケースもある。今回のUIフルモデルチェンジにより、これまでの評価がどのように変わっていくのか要注目だ。

【参考】my routeに対する口コミについては「トヨタMaaS「非常に期待」「二重に運賃」!口コミ分析をしてみたら」も参照。

■【まとめ】UI・UXの改善を図る動きは今後いっそう加速

まだまだ進化の過程にあるMaaSは、今後も試行錯誤を繰り返し機能の取捨選択やUI改善を継続していくことになる。その意味では、利用者も単純な非難ではなく、温かい目で見守りながらエラー報告や改善要望を出してほしい。

今後、一部エリアではMaaS同士の競合や連携などを図る動きも活発化していくものと思われる。利用者は各MaaSの機能や利便性を比較し、使い勝手の良いアプリを選択する。こうした競争を見据え、UI・UXの改善を図る動きは今後いっそう加速しそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事