生産性20倍!自動運転の除草ロボ、今年春ローンチ

長野ベンチャーのハタケホットケが発表



出典:ハタケホットケ・プレスリリース

スマートアグリ製品を開発する株式会社ハタケホットケ(本社:長野県塩尻市/代表:日吉有為)が、自動運転の除草ロボット「ミズニゴール2.0」を2023年の春にローンチする。

ミズニゴール2.0は、重労働と環境負荷を削減する小規模農家向け除草ロボットの最新改良版であり、GPS(全地球測位システム)搭載で自動運転する。


■「ミズニゴール」を大幅リニューアル

ミズニゴール2.0は、2022年4月に発表した「ミズニゴール」を大幅にニューアルしたモデルだ。

ミズニゴールは水田を走り回り、田んぼの水を濁らせて稲の栄養を奪う雑草の光合成を遮り、除草作業を自動化する。2022年に実施されたクラウドファンディングで250%以上の目標支援額を達成後、長野県内の農家を対象にした実証とレンタル提供が始まった。

ミズニゴール2.0にはGPSが搭載され、ラジコン操作が必要だった除草作業の自動化を実現する。1,000平方メートルを数分の手間で除草できるため、人力と比較すると約20倍の生産性向上が期待できるという。

■複数の田んぼを所有する場合でも
出典:ハタケホットケ・プレスリリース

Googleマップの位置情報と連携すると、走行ルートを自動設定や範囲設定を記録できるため、複数の田んぼを所有する場合にも対応できるようだ。本体は4つの構造に分割されたシンプルなモジュール型ロボットのため、パーツごとのメンテナンスや交換、輸送、組み立てがしやすくなった。重量も8キロと軽量で持ち運びもしやすい。


なおハタケホットケの所在地である長野県は全国で最も小規模農家が多く、人材・後継者不足や耕作放棄地などの課題を抱えているという。

今後、減農薬や無農薬化への転換を進める実証実験として、「地域サポーター制度」を新たにスタートし、農家間でのシェアリングにより小規模農家の負担を最小限に抑えて提供する。日本各地でミズニゴールを使用した有機米の生産を進めると同時に、田んぼそれぞれが持つ地質の特性や環境に合った除草効果の分析研究も進めていくという。

■2021年10月設立のハタケホットケ

ハタケホットケは2021年10月に設立したベンチャー企業だ。日本の農業人口の若返りや食糧自給率の課題を解決すべく、スマート農業機器を開発している。同社自体が農業生産者であることで、当事者目線を持って製品をつくっているのが特徴だ。

農薬が使われるようになったこの100年で、現代病と呼ばれるアレルギーやメンタルの疾病、生活習慣病が蔓延している。同社はこういった現状を打破し、無肥料・無農薬の自然農の促進を目指すために、同社はIoT、AI、ロボティクスなどの技術の活用を進める。


つまり、自動運転の除草ロボは日本の農業課題を解決する1つの取り組みと言えそうだ。

【参考】関連記事としては「自動運転と農業トラクター」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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