シンガポール最大のタクシー会社であるComfortDelGro(コンフォートデルグロ)は、イスラエルの自動運転ベンチャーOttopia Technologies(オトピア・テクノロジーズ)に400万ドル(約5億1,500万円)を出資することを2023年1月22日までに発表した。
今回のComfortDelGroによる出資はOttopiaにとって最大規模になるようだ。
■自動運転管制センターで技術導入
ComfortDelGroは、Comfort GroupとDelGro Corporationが統合し、2003年に設立された陸上輸送会社だ。バスやタクシー、レンタカーを合計3万4,000台保有している。シンガポールを本拠地とし、オーストラリアやニュージーランド、英国、アイルランド、中国、マレーシアでも事業を展開している。
自動運転ビジネスにも積極的で、2019年にシンガポール国立大学のキャンパス内で自動運転シャトルの試験走行を約1年間行っている。また、2022年3月には3,000万シンガポールドル(約29億円)を投じ、自動運転のための研究開発機関「AV CoE」を設立した。今後5年間にわたり、自動運転関連の取り組みを進めていくという。
今回のOttopiaへの出資は、主にOttopiaの遠隔操作技術をComfortDelGroの車両に導入することを目的としている。Ottopiaの遠隔操作ソフトウェアは、自動運転車の群れを遠隔で制御することができる独自技術で、将来的にComfortDelGroの自動運転管制センターで活用されるものとみられる。
ComfortDelGroのCEO(最高経営責任者)であるCheng Siak Kian氏は「必要なときにいつでも遠隔操作できる技術を持つことは、自動運転車の運用計画において非常に重要なことだ」と語っている。
■1人で数百台から数千台
2018年にイスラエルで設立されたOttopiaは、自動運転車両を安全に遠隔操作するシステムを開発している。車両と遠隔センター間において、低遅延で安定感のある高解像度データの伝送を実現しており、どんなタイプの自動運転車両にも適用できるとしている。
現在のところ、遠隔操作オペレーター1人が対応できる自動運転車は10台程度といわれている。しかしOttopiaの技術を用いると、数百台から数千台の車両に対応できるようになるという。
なお2021年8月には、総合商社の住友商事が同社のベンチャーキャピタルを通じ、Ottopiaに出資したことを発表している。これから注目度が高まっていきそうな企業だ。
▼ComfortDelGro公式サイト
https://www.comfortdelgro.com/
▼Ottopia Technologies公式サイト
https://ottopia.tech/
【参考】関連記事としては「自動運転関連のイスラエル企業一覧」も参照。