自動運転トラック開発のスタートアップ米Kodiak Roboticsが、米陸軍から自動運転トラックの受注を獲得したことがこのほど明らかになった。
Kodiak Roboticsの自動運転トラックは、米陸軍で監視や偵察、高リスクの任務を遂行するために活用される予定で、受注金額は5,000万ドル(約68億4,000万円)になるという。
■応募33社の中で高い評価を獲得
今回の契約は、米国防総省の国防イノベーション・ユニット(DIU)とのものだ。報道によれば、33社の応募の中から、自動運転システム開発において先陣を切って商品化に取り組んでいることや安全性が高く評価され、Kodiak Roboticsが選ばれた。
今後Kodiakは、国家安全保障を強化する自動運転型無人運転車の開発やテスト、配備などに携わる。具体的には、複雑な地形や作戦状況、GPS(全地球測位システム)精度が低下する地域を走行できるようにするための自動運転技術を開発していく。
戦時中の環境は非常に複雑で高リスクであり、部隊が敵陣の近くや背後で活動することもある。そのような危険な状況の時に自動運転車を用いることで、部隊のリスク削減や現場での情報収集が容易になることが期待されているという。
なお、米陸軍が必要に応じて車両を遠隔操作できるようにもするようだ。
■日本のブリヂストンが出資
Kodiak Roboticsの創業者兼CEO(最高経営責任者)であるDon Burnette氏は「私が会社を創業したのは、自動運転技術が人命を救うことができるから」と説明。その上で「最も困難な環境に対応した無人運転車両の開発で米軍を支援するということは、この目標に完全に合致する」とコメントしている。
2018年設立のKodiak Roboticsは、長距離輸送トラックの自動運転技術開発と貨物輸送サービスを提供している。ブリヂストンが出資していることでも知られている。
▼長距離トラック自動運転技術を開発するKodiak Robotics社に出資 中期事業計画(2021-2023)に基づきソリューション事業の拡大加速
https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2021061701.html
2022年8月からはスウェーデン家具大手のIKEAと協業し、自動運転型貨物配送を試験的に実施している。米テキサス州において、IKEAの配送センターと店舗間をKodiak Roboticsの自動運転トラックが製品の輸送を毎日行っているという。
今回の国防総省の国防イノベーション・ユニットとのパートナシップの構築は、Kodiak Roboticsにとって大きなチャレンジとなる。この挑戦がうまくいけば、長期的に国防総省が同社の大きな売上の柱になる可能性もありそうだ。
▼Kodiak Robotics公式サイト
https://kodiak.ai/
【参考】関連記事としては「米陸軍、「ロケット砲」を自動運転化へ」も参照。