17億円損失は挑戦の証?空飛ぶクルマ企業SkyDriveの最新決算

第4期(2021年7月〜2022年6月)状況



出典:官報(※クリックorタップすると拡大できます)

空飛ぶクルマなどの開発を手がける株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市/代表取締役CEO:福澤知浩)の第4期(2021年7月〜2022年6月)決算が、このほど官報に掲載された。

当期純損失は17億4,323万円を計上した。第1期の当期純損失は2億3,368万円、第2期の当期純損失は5億3,597万円、第3期の当期純損失は11億9,184万円となっている。


■SkyDrive第4期決算概要
賃借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 4,894,003
固定資産 315,305
資産合計 5,209,308
▼負債及び純資産の部
流動負債 281,110
固定負債 432,170
株主資本 1,395,607
資本金 100,000
資本剰余金 4,230,684
資本準備金 2,549,635
その他資本剰余金 1,681,049
利益剰余金 △2,935,077
その他利益剰余金 △2,935,077
(うち当期純損失 1,743,232)
新株予約権 3,100,420
負債・純資産合計 5,209,308

■業界の若手有志による注目ベンチャー
現在設計開発中の「SD-05」のデザイン=出典:SkyDriveプレスリリース

SkyDriveは「モビリティを通じて次世代の人達に夢(=能力の拡張)を提供する」ことをミッションに掲げる有志団体CARTIVATOR(現Dream-On Management)から派生する形で、2018年8月に設立された。道路や滑走路が不要な垂直離着陸型のコンパクトな空飛ぶクルマや、最大30キロまで積載できる物流ドローンの開発に取り組んでいる。

誰もがいつでも空を飛べる時代を

同社は2050年までに誰もがいつでも空を飛べる時代を創ることを目指している。2019年5月に愛知県豊田市と協定を結び、日本最大級の屋内飛行試験場の活用が可能になった。同年12月には、国内初の空飛ぶクルマの有人飛行試験をスタートしている。2020年8月には4分間の公開有人飛行を成功させ、有人試験機SD-03モデルを公開した。


2025年万博でのエアタクシー実現に向け

SkyDriveは、2025年の大阪・関西万博でのエアタクシーの実現を目指している。大阪府の「空飛ぶクルマの実現に向けた実証実験」にも参加している。2021年10月には、日本第1号の空飛ぶクルマの型式証明申請が国土交通省によって受理されたことでも話題を集めた。空飛ぶクルマの型式証明は実用化への第一歩と言える。

2022年5月には、物流ドローンの新サービス「SkyLift Plus」の提供開始を発表している。SkyLift Plusでは、顧客がSkyDriveの自社開発する物流ドローン「SkyLift」を使用する際に、運用に関する各種業務をワンストップで担うサービスだ。

2022年9月には、「バーティポート」に関する業務提携を米Volatus Infrastructureと結んだ。バーティポートとは、垂直離着陸が可能な空飛ぶクルマなどのための離着陸場を指す。同社は機体の開発だけでなく、実用化へ向けてインフラ整備にも積極的に取り組んでいることがうかがえる。

新たに総額96億円の資金調達を実施

2022年10月には、シリーズCラウンドにおいて、総額96億円の資金調達を実施した。この調達により、同社は2022年の国内スタートアップ資金調達額ランキングで7位に入り、2022年の累計調達額が147億円となった。2022年の累計調達額でも7位につけた。


■世界からも注目を集めるSkyDrive

日本の有力ベンチャーの1社であるSkyDrive。空飛ぶクルマや物流ドローンサービス、空のインフラ整備など、企業として事業を一歩一歩前進させ、世界からも注目を集めている。

当期純損失は期ごとに増えているものの、同社の積極的な姿勢を見れば、決算の数字だけで同社の将来性を判断することは到底できない。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは(2022年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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