パナソニックはこのほど、自動運転シャトル開発の仏EasyMile(イージーマイル)と長瀬産業とともに、遠隔管制システムを搭載した自律運転けん引車の実証実験を行った。実証実験は車両エンジンの運搬を想定し、三菱ふそうトラック・バスの川崎製作所で行われた。
今回の実証は、EasyMileが開発・製造している自動運転電動けん引車「TractEasy」に、パナソニックが開発した遠隔管制システム「X-Area Remote」を搭載して行われた。要は、自動運転技術と遠隔管制技術の融合だ。
ちなみに複合商社の長瀬産業は2019年に自動運転技術分野に本格参入することを発表しており、EasyMileの国内代理店を務めていることでも知られている。
■遠隔管制で「時間損失」を抑える
TractEasyは、センサーやカメラから取得した走行距離などのデータをリアルタイムで処理し、自律的に運搬を行うことができる自動運転けん引車だ。この車両には、センチ単位の位置特定技術や障害物の広範囲検知、V2X無線通信、予測制御、交差点・横断歩道の判断などのナビゲーションシステムが組み込まれている。
TractEasyに搭載されたパナソニックのX-Area Remoteには、4G・5Gでの低遅延安定通信やサイバーセキュリティ、遠隔オペレータへのAI(人工知能)アシスト機能などが備わっている。それにより、多様なモビリティを統合的に監視・操作・運用管理できる。
実証では、経路を塞ぐ複雑な障害物などにより自動運転が困難なシーンを想定し、遠隔操作・監視システムの操作性や実用性などを検証した。遠隔での操作により時間損失を抑え、より高効率な作業を可能とし、物流現場の人材不足問題の解決や作業負担が軽減されることが期待される。
■無人化のニーズは高まる一方
工場や物流業界では24時間稼働も珍しくない。しかし、こうした業界では人員不足が深刻化しており、無人化のニーズは高まる一方だ。
そして無人化の主役級の技術と言えるのが自動運転技術だが、自動運転技術だけではトラブルが起きたときに作業の大幅な遅延が発生しかねない。そのため、遠隔管制技術が必要となってくるわけだ。
そういう意味でも今回の実証実験は、現場の事情や課題に寄り添った取り組みを言えそうだ。
▼EasyMile公式サイト
https://easymile.com/
【参考】関連記事としては「自動運転と遠隔監視技術(2022年最新版)」も参照。