乗用車の自動運転車の発売ではホンダが、自動運転シャトルでは仏Navyaなどが有名だ。トヨタの名前はあまり聞かない。しかし、実はトヨタも自動運転車を発売しようと思えばいつでも発売できるのに、あえてしていないだけという説がある。
なぜなら、トヨタもすでに自動運転シャトルや自動運転用車種を開発しているからだ。
■トヨタと言えば「e-Palette」
トヨタには、自動運転車を活用したモビリティサービスとして「Autono-MaaS」というコンセプトを掲げている。Autono-MaaSは「Autonomous Vehicle(自動運転車)」と「MaaS(モビリティサービス)」を融合させた造語だ。
このAutono-MaaSに関する専用車両として、トヨタは2018年1月に米ラスベガスで開催された技術見本市「CES 2018」において、MaaS専用次世代EV(電気自動車)「e-Palette(イーパレット)」を初公開し、その後、開発を続けている。
e-PaletteはAutono-MaaSを具現化する存在であり、電動化やコネクテッド化、自動運転化が図られたコンセプトカーだ。ライドシェアやホテル、小売など、サービスパートナーの用途に応じて仕様を変更でき、多目的な活用ができる次世代モビリティサービス車両として位置付けられている。
■シエナのAutono-MaaS仕様車にも注目
2021年に開催された東京五輪では、選手村に導入され大きな注目を集めたe-Palette。ただし、トヨタが開発している自動運転車はe-Paletteだけではない。水面下で開発が進められているシエナのAutono-MaaS仕様車をご存じだろうか。
トヨタから出資を受けている自動運転ベンチャーの米May Mobilityは2022年9月、米ミネソタ州において、自動運転用として開発されたトヨタのシエナを活用した公共交通プログラムをスタートすることを発表している。
Autono-MaaS仕様のシエナは、「米国障害者法」(障害を持つアメリカ人法)に準拠した車両で、車椅子対応になっているという。オンデマンド乗り合いタクシーとして展開され、誰でも無料で利用可能のようだ。
当時、May MobilityのEdwin Olson最高経営責任者(CEO)は「トヨタ・シエナのAutono-MaaS車両による初の商用フリート」と説明している。
【参考】関連記事としては「トヨタの自動運転用シエナ、初の商業利用か!米May Mobilityが発表」も参照。
■あえて発売しないその理由とは・・・?
このように、トヨタは順調に自動運転シャトルやAutono-MaaS用車種の開発を進めている。それでもまだ市場に投入していないのは、あえてそのタイミングを図っているように感じる。販売で「世界初」を他社に譲ったとしてもだ。
トヨタは「世界のトヨタ」と呼ばれるほど、業界で注目されている企業だ。言わずもがなだが、トヨタの自動運転に関する動向は、今後も世界からウォッチされ続けていく。
【参考】関連記事としては「トヨタの自動運転戦略(2022年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)