日本のユニコーン企業(企業価値10億ドル以上の非上場ベンチャー)として知られるAI(人工知能)開発のPreferred Networks。その子会社にもいま注目が集まっている。自律移動ロボット開発を手掛けるベンチャー企業として2021年11月に設立されたPreferred Roboticsだ。
Preferred Roboticsは、AI技術で自律移動する小型洗浄ロボット「HAPiiBOT(ハピボット)」を洗浄機大手のアマノと共同開発し、2022年10月1日からアマノが販売を開始した。
■AI技術で床面を自動洗浄
HAPiiBOTは、幅550ミリ、奥行1,220ミリ、高さ940ミリの小型ロボットで、高度な自己位置認識やカメラに写った物体を識別する物体認識といったAI技術が搭載されている。それにより、人や障害物を正確に認識し、自律移動しながら床面を自動洗浄することができる。
また、従来の技術では難しかった床マットなども認識できるほか、小型で小回りが利くため、これまで手押しの洗浄機しか使用できなかった通路の狭い食品スーパーなどの施設にも導入が可能となる。連続洗浄時間は2時間となっている。
その他、遠隔操作が可能なクラウドサービス「AMANO Robot Cloud」を利用することで、複数台のロボットの稼働状況がリアルタイムに監視できる。また、クラウドサービスの利用により清掃ルートの変更やマップ連携が可能となり、現場管理者の工数の大幅削減に寄与する。
■価格は320万円、来年度に販売600台目指す
導入の際は、最初に清掃対象エリアの外周を登録(ティーチング)するだけで、周囲をセンシングしながら施設内の通路を自律移動し、走行可能ルートを自動生成するという。
販売価格は税別320万円となっており、アマノは2022年度200台、2023年度600台の販売を目指す。
■子会社のPreferred Roboticsにも注目を
Preferred Roboticsは、ナビゲーションシステムや低消費電力のエッジCPUボードを独自開発した。さらにPreferred NetworksのAI技術とスーパーコンピューターを用いて、柔軟な自律移動を可能にするソフトウェアを開発した。
これを、洗浄機大手のアマノのハードウェア技術と統合させることで、高い洗浄力や節水性能、使いやすさ、自律移動機能を兼ね備えた自動清掃ロボットを開発することができた。親会社のPreferred Networksだけではなく、子会社のPreferred Roboticsも注目に値する企業だ。
【参考】関連記事としては「Preferred Networks、建築現場用ロボ向けに自律移動システムを開発」も参照。