EC(電子商取引)世界最大手の米Amazonはベンチャー企業の買収を通じ、GoogleやIntelに負けじと自動運転事業に着手している。すでに自動運転車のテストも始まっており、人々が予想するよりも早く実用化を達成しようと意気込んでいる。
■「Sooner than people expect」と語る
Amazonが買収したベンチャー企業はZoox(ズークス)だ。2020年に買収し、現在はAmazonの自動運転部門として機能している。
報道によると、ZooxのAicha Evans最高経営責任者(CEO)は2022年9月28日に開催されたブルームバーグ・テクノロジー・サミットにおいて、自動運転車の実用化について「Sooner than people expect(人々が予想するよりも早く)」と述べたらしい。
Evans CEOが語る自動運転車の実用化とは、「自動運転タクシー」(ロボットタクシー)の実用化のことを指す。Amazonに買収される前からZooxは自動運転タクシー車両を開発している。開発している車両のイメージは以下の通りだ。
車両は4人乗りで、車内で向かい合わせに座る座席配置となっている。運転席は用意されていない。
【参考】関連記事としては「Amazon、自動運転タクシー展開へ 傘下企業が試験準備」も参照。
■運転席がないシャトル型で実用化へ
自動運転タクシーとして開発されているモビリティは、大きく分けて2種類に分類できる。既存の自動車を自動運転車に改造するパターンと、運転席がそもそもないシャトル型もしくはポッド型の自動運転車をゼロから製造・デザインするパターンだ。
前者についてはすでにWaymoやCruise、さらには中国の百度(Baidu)などが商用化・実用化を実現しているが、運転席がない後者のモビリティに関しては、まだ大々的に自動運転タクシーとして展開されている例は聞かない(定路線を走行するバスとして展開はある)。
Zooxが展開しようとしているのは後者のパターンのモビリティで、実用化されれば世界的に注目を集めそうだ。
ちなみにZooxは米カリフォルニアの道路管理局(DMV)から「Driverless Testing(ドライバーなし実証)」の許可を受けている企業のうちの1社だ。
▼AUTONOMOUS VEHICLE TESTING PERMIT HOLDERS|カリフォルニア道路管理局
https://www.dmv.ca.gov/portal/vehicle-industry-services/autonomous-vehicles/autonomous-vehicle-testing-permit-holders/
■Scoutの開発とともに注目を
Amazonに関しては、自動配送ロボット「Scout」と開発していることでも知られ、Scoutの開発ではZooxの自動運転技術も大いに活用されそうだ。複数の角度から自動運転領域に参入しているAmazon。Amazon、そしてZooxの動きに引き続き注目だ。
【参考】関連記事としては「米Amazonの自動運転配達ロボ「Scout」、試験の場を拡大中」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)