自動運転バスの開発を手掛ける埼玉工業大学はこのほど、大型自動運転バスをスクールバスに導入することを発表した。キャンパスと最寄り駅であるJR高崎線岡部駅間の約1.6キロの公道を走行する。私立大学としては初の大型自動運転スクールバスの導入だという。
■多くの実績、法定時速内で走行
スクールバスとして導入される大型自動運転バス「レインボーⅡ」は、2021年に「渋沢栄一論語の里循環バス」として、深谷観光バスとの共同で全国に先駆けて営業運行を開始している。
埼玉工業大学では、2019年12月に自動運転マイクロバス「リエッセⅡ」をスクールバスとして同ルートで導入したものの、コロナ禍により運行を中止していた。このたびスクールバスの再開にあわせ、大型自動運転バスを導入することになったという。
なお、2021年2月16日~2022年1月10日の、この2つの自動運転バスの走行実績は、すでに1万キロを超えている。多くの走行実績を経たからこそ、今回スクールバスとして、1.6キロの公道を法定時速40キロ以内で走行することにつながった。
■後付けの自動運転機能を搭載
大型自動運転バスは、日野レインボーをベースに埼玉工業大学が開発した後付けの自動運転機能が搭載されている。路線バスとして営業運行できるよう、業務用の緑ナンバーを取得済みだ。自動運転OSは名古屋大学発スタートアップのティアフォーが開発する「Autoware」が採用されている。
運行期間は2022年9月19日〜12月23日の毎週月曜日と金曜日で、1日9便運行する。定員は22人で、埼玉工業大学の学生以外の一般客も乗車できるようだ。運賃は無料となる。
ドライバーは乗車するものの、ハンドルやアクセル、ブレーキはシステムが自動で制御するようだ。手動運転と自動運転は即時にスムーズに切り替えられるため、交通状況に応じて安全に走行できる。
■自動運転スクールバスでAI技術を体感
2016年から自動運転技術の実用化に取り組む埼玉工業大学。2018年7月には私立大学初の大学発自動運転ベンチャーである「フィールドオート」を設立し、産学連携事業もスタートさせている。
2019年4月には学長直轄の研究組織「自動運転技術開発センター」を設立し、「AI専攻」(情報システム学科)も設置している埼玉工業大学。自動運転スクールバスに乗車すれば、同大学のAI技術を体感できそうだ。
【参考】関連記事としては「私立大学が自動運転バスで「1年間1万キロ」走破!埼工大」も参照。