「空の道」を走るドローンと自動運転ロボがリレー配送する、まさに「次世代配送」的な取り組みを実現させるための事業が、2022年8月下旬から始まった。
この事業は、茨城県つくば市でPCR検体輸送などを目的に、複数のドローンと自動配送ロボットを組み合わせた物流サービスの実現可能性を検証するものだ。
取り組みに参加するのは、KDDIと、KDDI子会社でドローン事業を手掛けるKDDIスマートドローン、名古屋大学発の自動運転スタートアップのティアフォー、AR(拡張現実)作品などの制作支援を行うPsychic VR Labの4社だ。
■「空の道」をリアルメタバースで視覚化
今回の実証は、内閣府のスーパーシティ調査事業である「先端的サービスの開発・構築等に関する調査事業」に採択された取り組みの一環だ。2022年4月に「スーパーシティ型国家戦略特区」に指定されたつくば市の「デジタル田園都市国家構想」を先導すべく、4社は2023年以降のサービス開始を目指しているという。
実証では、PCR検体の医療機関への輸送実証や、複数ドローンによる目的に応じた配送サービスを行う。複数ドローンの飛行を遠隔監視するために、「KDDIスマートドローンの運航管理システム」を利用するという。さらに、複数ドローンと自動配送ロボットが連携した配送サービスを提供し、道路上での安全走行を実現するための規制や制度を検証していく。
同時に、地域住民にドローンを認知・理解してもらうため、都市空間をメディアとして活用できるリアルメタバース上に、ドローンの飛行経路や運行情報をARコンテンツとして表示する。地域住民には視覚的にリアルタイムで認識してもらうようだ。
■「NEWVIEW School」の提供も
また前述の取り組みとは別に、オンラインのデジタルツイン(バーチャル空間)に、スマートフォンやデジタルサイネージを通してアクセスし、AR(拡張現実)やMR(複合現実)体験ができるソリューションを提供する。VR(仮想現実)やARの総称である「XR」の表現を学べる教育プログラム「NEWVIEW School」をWeb3.0へ拡張し、提供も行う。
「NEWVIEW School」では、Web3.0時代のコンテンツ作りや発信に必要なスキルを統合的に学べるようだ。具体的には、メタバースやWeb3.0の概要をはじめ、XRコンテンツ制作の一連のプロセス、制作に使うソフトウエアの使い方、NFTの付与・マーケットプレイスでの販売などだ。
ちなみにNFTとは、偽造できない鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータを指す。ブロックチェーン上で発行され、取り引きされる。
■次世代配送、つくばから全国へ!?
ドローンと自動配送ロボによるリレー配送は、車が不可欠な地域の課題や、人手不足などの物流課題を解決する一助となりそうだ。「次世代配送」がつくば市で実現し、そして全国へ展開されていくことにも期待がかかる。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは?(2022年最新版)」も参照。