米メディアの報道によれば、GM傘下の自動運転企業Cruise(クルーズ)はこのほど、カリフォルニア州サンフランシスコで展開中の自動運転タクシー80台のソフトウェアを、全てリコールした。
すでにソフトウェアは2022年7月中に、全て新しいバージョンのものに更新されたという。このリコールは、6月初旬にCruiseの自動運転タクシーが起こした交通事故に起因するものだ。
■Cruiseが起こした事故の概要は?
Cruiseの自動運転タクシーが事故を起こしたのは、6月3日のことだ。交差点で自動運転タクシーが左折しようとしたところ、トヨタのプリウスと衝突した。トヨタのプリウスは時速40キロ制限の道路を時速64キロで走行していた。
米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が公表した報告書によれば、Cruiseの自動運転タクシーは特定の状況下において、他の車両の進路について誤った予測をしたり、突然の進路変更に十分に反応できなかったりする可能性があったという。
この事故を受けてNHTSAは調査を行い、最終的にCruiseは自主的にソフトウェアの改変に乗り出した格好のようだ。Cruiseの広報担当者は「市民に対する透明性を確保するために、(リコールという)自主的な申請を行うことに決めた」と述べているという。
■他にもトラブル続きのCruise
Cruiseの自動運転タクシーは、いまカリフォルニアにおいて何かと世間を騒がせている存在だ。複数台の自動運転タクシーが、深夜に突然、複数の車線を遮断したり、対向車線を走っていた緊急出動中の消防車の行く手を阻んだり、といった具合だ。
【参考】関連記事としては「住民唖然!Cruiseの自動運転タクシー、深夜の「道路封鎖」」「アメリカで物議!自動運転車が「25秒間」消防車を足止め」を参照。
自動運転タクシーに関しては、業界ではGoogle系Waymoが先行しており、CruiseはWaymoの背中を追う形で事業展開を急いできた経緯がある。そのことが一連のトラブルに結び付いたかは分からないが、今後もトラブルが続けば、同社の技術に対する信頼に黄信号が灯ることになりそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転車の事故(2022年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)