事故の教訓活かす!静岡県、新たな自動運転実証を発表

第1弾は掛川市で2022年8月に実施



静岡県は2022年6月19日までに、県内3カ所の公道で自動運転車の実証実験を行うことを発表した。

2018年5月に静岡県が発足させた 「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」の一環で実施され、掛川市で2022年8月と11月、松崎町で10月、沼津市で11月に実証実験が行われる。


出典:静岡県資料(※クリックorタップすると拡大できます)
■昨年の事故を踏まえて「改善」

今回の実証実験の第1弾は掛川市で2022年8月1〜7日に行われ、5Gのスタンドアロン(SA)方式の通信技術を活用した遠隔型自動運転走行や夜間走行を行う。自動運転車を活用した掛川市の新たな観光コンテンツとして将来の導入を見据えているようだ。

出典:静岡県資料(※クリックorタップすると拡大できます)

実証実験は、2021年に伊東市で起きた自動運転車の実証実験中の事故を踏まえ、改善を行った上で実施する。事故の概要は次の通りだ。

2021年11月15日、伊豆高原駅の周囲約1.4キロの公道を自動運転車が遠隔操作で走行していた際、自動運転車両のサイドミラーと歩行者が接触する事故が起きた。3日後の実証実験に向け、遠隔操作の公道審査を実施していた時に起こったものだ。

遠隔監視の電波状況が悪化し映像が乱れたため、遠隔操作者がブレーキを踏んだがブレーキ制御が効かず、 左ミラーが歩行者と接触した。異常に気づいた保安要員が車両ブレーキを踏んだため、接触直前に車両は減速し、歩行者の怪我はなく、周辺の構造物や車両の破損などはなかった。


今年度に実証実験を行うにあたり、改善点として以下3つの項目を挙げている。

  • 自動運転車のブレーキを作動させるアクチュエーターを耐久性の高いものへ交換
  • 自動運転システムの速度指示と車両速度に乖離が生じた際に緊急のブレーキが作動するようシステムを改修
  • 緊急時の運転手(遠隔・車両)の対応を明確化するよう、手順書に明記するとともに運転手への教育及び訓練を徹底
■静岡県の自動運転プロジェクトに注目

静岡県は2018年から「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」を進めている。自動運転車などの最新技術を活用した移動サービスを導入することで、公共交通機関の運転手不足や過疎地における高齢者の移動支援といった課題の解決を目指す取り組みだ。

この取り組みを通じ、県内企業のEV(電気自動車)や次世代自動車、自動運転車両の開発における技術力のアップを促進するねらいもある。静岡県が取り組むプロジェクトの今後に引き続き注目していきたい。

▼しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト令和4年度実証実験計画
https://www.pref.shizuoka.jp/kensetsu/ke-570/documents/2020606keikakusho.pdf


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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