三菱重工業と三菱重工機械システムが、国内の商業施設で初となる実証実験をこのほど開始した。車を持ち上げて無人搬送して駐車する方式の自動バレーパーキングの実証だ。
実証では仏ベンチャー企業のStanley Robotics(スタンレーロボティクス)車両搬送用AGV(Automated Guided Vehicle)ロボット「Stan」を使用。期間は2022年7月1日までの予定だ。
■駐車の手間も車まで戻る手間も無くす
今回の実証実験は、千葉県印旛郡にある「酒々井プレミアム・アウトレット」の関係者駐車場を利用し、搬送性能の検証と利用満足度の評価を行うという。
Stanによる自動バレーパーキングシステムでは、まずユーザーが施設に近接する「バース」と呼ばれるエリアに駐車する。その後、Stanはその車両の下部に板状の搬送用機構を滑りこませ、車両を持ち上げて駐車エリアに自動搬送する。
出庫する際にはユーザーがスマートフォンアプリで予約をすると、予約時間に合わせてStanが車両をバースに自動で搬送してくれる。バースには広々としたスペースがあるため、荷物の積み込みもストレスなく行うことができる。Stan自体はコンパクトな大きさのため、複数台が一度に稼働しても問題ない。
広い駐車場だと、自分がどこに車を駐車したか分からなくなることがある。しかし、Stanを使えばそうしたことはなくなる。また、買い物帰りに荷物を抱えて車両まで歩く必要もなくなる。駐車場内の事故の削減にもつながる。
また、Stanが限られた駐車スペースに効率よく駐車でき、駐車場の収容効率が上がることもメリットのようだ。
■自動バレーパーキングが当たり前の時代へ
2015年創業のStanley Roboticsはフランスのパリに本社を置き、これまで屋外物流の新しいソリューションを提供してきた。Stanは2017年からフランスのリヨン空港の駐車場において商業運用が始まっており、イギリスのガトウィック空港でも導入されている。雨天時も稼働できる。
三菱重工グループはStanley Roboticsと2021年10月から三菱重工施設内で実証実験を実施してきた。今回の酒々井プレミアム・アウトレットでの実証を経て、商業施設をはじめ、大型複合ビルやテーマパーク、空港などの駐車場で自動バレーパーキングサービスの国内事業化への取り組みを進めていくという。
商業・大型施設だけでなく、いずれはマンションなどの集合住宅で展開される可能性も十分にありそうだ。
▼Stanley Robotics公式サイト
https://stanley-robotics.com/
【参考】関連記事としては「自動バレーパーキングとは? 自動運転技術を活用 開発企業は?」も参照。